今日の気になる日本語~政治家は玉川徹は禁止と言っても許されるのか

   

『玉川徹は出禁』 維新の吉村氏発言が波紋 「維新の『政治家』としての発言だからOK」と認識 「知事や協会副会長の立場では発言しない」との考え
問題となっているのは、2月、大阪府茨木市で開かれた大阪維新の会のタウンミーティングで撮影されたとみられる動画で、SNSで拡散されている。

これによると、吉村代表が、大阪・関西万博や、会場予定地で建設中の「リング」について、「今批判している、名前言いませんけど、モーニングショーの『玉川徹』。今批判するのはいいけど、入れさせんとこかと。入れさしてくれと、これ見たいって言っても、モーニングショーは禁止。玉川徹は禁止って言ったろかなと」と発言し、隣にいる幹事長の横山英幸大阪市長が笑みを浮かべているほか、会場内から拍手がわき起こる様子が確認できる。

この発言に対しての批判に対する返答として吉村知事は

「実際に出禁にする権限がないという前提での発言だ。報道機関が万博への批判や課題を指摘するのは当然だが、非常に偏りすぎていると思っている。もう少し、公平な報道をお願いしたいという趣旨での発言だ」と述べた。

その上で、吉村代表が博覧会協会の役員を務めている点について問われると、「公務の場では、そういう発言はしない。政治的な集会の場で、政治家としての発言であり、一定程度、自由にさせてもらいたいと思います」と述べた。

政治的な発言だから許されるとしている。要するに知事として公務として発言しているわけではないから良いということだろうが、こういった発言をここは公人、こちらは私人、ここからは政治家としての発言などと切り分けれられるものではないだろう。
そもそも、本人自ら知事として発言したわけではない、と断りを入れるのは知事として発言したら問題になる可能性を考慮してだろう。
また、出入り禁止にする権限がないからいいわけでもなかろう。権限がなければ何を言ってもいいとはならない。なぜ権限がなければ発言が許されると思ったのか。
政治家としての発言であって知事として言ったわけではない、という理屈は一見スジが通っているように見えるが、万博に対して何の権限もないイチ政治家がなぜ敢えて万博に関して発言をしたのか。しかも批判的なテレビ番組のコメンテーターに対して。
偏った批判がよくない、というのであればそう言えば済む話で、敢えて現在進行形の自分が直接的にかかわりがあるプロジェクトで、実質トップと言っていい人間が、権限がないとは言え、自分の力で出入り禁止にしてやるという発言をわざわざする必要があるのか?
要するに吉村知事はそれを、イチ政治家の政治的発言だからいいだろう、と言いたいようだが、それではその発言の理由にはなっていない。
政治家の政治的発言というならば、その発言をした政治的理由を述べるべきだろう。仮に当該発言が許されるとしても政治家が政治的発言をするならばその発言には政治的な責任があるはずだ。
その主な理由としては「報道機関が万博への批判や課題を指摘するのは当然だが、非常に偏りすぎていると思っている。もう少し、公平な報道をお願いしたいという趣旨での発言だ」ということになろうが、だとするとやはり、そのように発言すべきだったのだ。
敢えて出入り禁止にする、などという大阪府知事としての権限をさも発動するかのように受け取られる発言は批判されても仕方のない話だと思われる。




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