地位協定と在日米軍の犯罪発生率

      2024/04/07

また、在日米軍の軍属による犯罪が発生しましたね。
以前、これに関連する記事を書きましたが→ 在日米軍の犯罪発生率がなぜ群を抜いて高いのか悩む
案の定アクセスが増えていました。


『軍人による性的暴行事件の軍法会議付託件数に見る世界各地域別・発生率比較』
米兵1000人あたりで、沖縄では4.12件
キャンプ・ペンデルトンでは2.00件、キャンプ・ルジューンでは1.75件、サンディエゴでは1.07件、バージニア州ノーフォークでは0.80件

性犯罪を理由に軍法会議にかけられた被告の数
第一位は在日米海軍・海兵隊で、被告数は169人。第二位はサンディエゴ基地(102人)、三位はノーフォーク基地(90人)
※両基地とも、在日米海軍・海兵隊の2倍、3倍の兵員

欧州の基地はほとんど出てこない。その中ではスペイン(24人)、イタリア(16人)が目立つ程度。

在日米軍の犯罪発生率が突出して高いのは統計上一目瞭然ですが、では一体なぜなのでしょうか?

30年くらい前に書かれた外人部隊に在隊していた日本人の本があるのですが、アフリカの基地で現地人による盗みが横行し、対策として見つけたら射殺してかまわないというお達しがでて実際に射殺した隊員がいたけどなんのお咎めもなしだったという一節があります。

そういう感覚が白人の中にまだまだあるんじゃないか、そんな気がしてなりません。

レイプ・オブ・オキナワの政治学に気になる記事があったので一部抜粋します。

『、「ほとんどの地位協定には、米軍当局が裁判権の移管に同意する例外的な場合を除いて、被駐留国裁判所の司法権は地元民に対して罪を犯した米国軍人におよばないと書かれている」と断定している。[2] 軍人は通常の旅券審査と出入国管理をも免除されているので、強姦や殺人事件の被疑者が現地の裁判にかけられる前に、彼らを出国させるという選択肢が軍にはあり、しばしば太平洋の基地の司令官たちはこの仕掛けに頼ってきた。』

『、「日本国における合衆国軍隊の地位は別個の協定により規律される」――安保条約第6条であり、この地位協定たるや、ずっと長文で中身の濃い28条からなる、きわめて複雑難解な法的文書である。

安保条約本文の検索は容易だし、日本で出版される国際関係についての書籍にたいてい付録されている。だが、地位協定となれば、入手が非常に困難で、実質的に機密扱いになっている。日本国民が正確な翻訳文書を見つけるには、広く検索しなければならない。地位協定の公式名称は『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する1960年1月19日に締結された協定』である。同協定は一度も改定されていない』

『、「合衆国は、この協定の終了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当たって、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない」――第4条(第1項)』

『「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」――第9条第2項前段の定めにより、米軍人は、日本で犯罪を告発されても、出入国管理に遭わずに出国できることになる。』

『合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において保有し、使用し、又は移転する財産について租税又は類似の公課を課されない 第13条(第1項)』

以上のような条項のどれひとつとして、NATO諸国との間の地位協定には記されていないことに注目しておくべきだろう。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)及び関連情報

気になったものを抜粋※条文全文ではない場合あり
日米地位協定
前 文
日本国及びアメリカ合衆国は、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された日本国とア
メリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条の規定に従い、次に掲げる条項によりこ
の協定を締結した。

※安全保障条約第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

日米地位協定
第二条
1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の
施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条
に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」
には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。

日米地位協定
第五条
1 合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のた
めに又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を
課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。この協定による免
除を与えられない貨物又は旅客がそれらの船舶又は航空機で運送されるときは、
日本国の当局にその旨の通告を与えなければならず、その貨物又は旅客の日本国
への入国及び同国からの出国は、日本国の法令による。
2 1に掲げる船舶及び航空機、合衆国政府所有の車両(機甲車両を含む。)並びに
合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用している
施設及び区域に出入し、これらのものの間を移動し、及びこれらのものと日本国
の港又は飛行場との間を移動することができる。合衆国の軍用車両の施設及び区
域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課
さない。
3 1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国
の当局に適当な通告をしなければならない。その船舶は、強制水先を免除され
る。もつとも、水先人を使用したときは、応当する料率で水先料を支払わなけれ
ばならない。

日米地位協定
第七条
合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よ
りも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事
業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有す
るものとする。

日米地位協定
第八条
日本国政府は、両政府の当局間の取極に従い、次の気象業務を合衆国軍隊に提供
することを約束する。
(a) 地上及び海上からの気象観測(気象観測船からの観測を含む。)
(b) 気象資料(気象庁の定期的概報及び過去の資料を含む。)
(c) 航空機の安全かつ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務
(d) 地震観測の資料(地震から生ずる津波の予想される程度及びその津波の影響
を受ける区域の予報を含む。)

日米地位協定
第九条
1 この条の規定に従うことを条件として、合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍
属並びにそれらの家族である者を日本国に入れることができる。
2 合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外さ
れる。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管
理に関する日本国の法令の適用から除外される。ただし、日本国の領域における
永久的な居所又は住所を要求する権利を取得するものとみなされない。

日米地位協定
第十一条
1 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、この協定中に規定がある場
合を除くほか、日本国の税関当局が執行する法令に服さなければならない。
2 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十五条に定める諸機関が合衆国軍
隊の公用のため又は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の使用のため
輸入するすべての資材、需品及び備品並びに合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及
び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資
材、需品及び備品は、日本国に入れることを許される この輸入には、関税その他
の課徴金を課さない。前記の資材、需品及び備品は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公
認調達機関又は第十五条に定める諸機関が輸入するものである旨の適当な証明書
(合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若し
くは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品にあつては、合衆国軍隊
が前記の目的のために受領すべき旨の適当な証明書)を必要とする。
3 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に仕向けられ、かつ、これらの
者の私用に供される財産には、関税その他の課徴金を課する。ただし、次のものに
ついては、関税その他の課徴金を課さない。

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する
この条約は恐らく、第二次世界大戦後の国際情勢に鑑みて作られたと思うが、この十条の文言が興味深い。日本政府、或いはアメリカ政府もこの条約はいずれお役御免になるだろうと考えていたのではないか。
わざわざ国際連合の措置という文言を入れていることから第二次世界大戦後まだ日が浅く、ソ連などの共産主義勢力の脅威がなくなるまでは少なくとも米軍の傘の下にいたほうが得策と思ったに違いないし、そのつもりでこの文言を入れているのだろう。
しかし、地位協定などによってこの条約はアメリカにとっては非常に使い勝手のいいものとなっておりむざむざ破棄する必要はない。
この条約をもとにした地位協定は幕末の不平等条約よりもひどいものかもしれない。もしも、幕末にこのような協定を結んだと分かったらその政治家はどうなっていたのだろうか。




 - 国家権力とか, 素朴な疑問