警察官が職質している時の肖像権

   

“職質する警察官”に食ってかかる動画に正義はあるのか? 弁護士の見解

「前提として、『肖像権』の考え方からお話しします。これは、憲法13条から導かれるとされる、国民が国からみだりに姿形を撮られないという権利なんです。憲法上の人権は、原則として国との関係で国民に保障されるものであり、職務中の警察官は国側の人間ですから、基本的に肖像権の問題は出てきません」

そもそも肖像権がどういうものなのか、そして肖像権が憲法上人権として保障されるのか、という問題と、肖像権というものが何にせよそれを権利として認めて侵害されたら違法となって損害賠償の対象となるかという問題は別個の話だろう。

公務員の職務中の言動を撮影することは当該公務員の同意がなくても許されるのか?という事に換言できるだろう。
これを肖像権と呼ぶかどうかは話がまた別である。
判例上も肖像権という言葉を使ってその定義をして憲法上認めたものはないと思われるが、他方民事上の裁判で肖像権の類を侵害したとして損害賠償を認めた事例はあるようだ。

この記事で取り上げられているのは、
「警察官が職務質問を行っている場合の肖像権であり、要するに同意がなくても撮影しても構わない、かつ、それを配信しても構わない」という見解であり、これに対して記事中の弁護士の見解では
「肖像権は対国家に対して国民に保障されるものであり、警察官はこの場合国家側なのだから肖像権はない」というものである。
肖像権をこのように考えるのであれば確かに警察官の職務執行中の言動は肖像権として保護の対象にはならないという帰結に傾くだろう。

しかし、肖像権を対国家に対して一般国民が憲法上の権利として保障されるものだとしてしまうと、国民対国民の場合は肖像権としては保障されていないので同意なく他人の言動を撮影しても肖像権侵害とはならない事になってしまう。




 - 国家権力とか, 素朴な疑問