前日~逃げ続ける人生

   

夜中ふと目が覚める。
年をとると尿意で目が覚めることが多いが、この覚醒は緊張によるものだろう。
試験日前などに緊張で眠れない等という事があるが、やはり自分では気づいていないだけで緊張しているのだろう。
無理もない。この10年あまりほぼ引きこもりと言っていい状態で最近働いたのは約半年前である。
なぜか10代の頃に家出をして東京の新聞販売店で働こうとしていたことを暗闇の中で思い出す。
初めて東京に来て販売店の人たちに食事を奢ってもらい、吉祥寺の販売店の一室で眠りつにつくときやはり暗闇の中で家に戻ろうと考え直した。
あれから私の逃げ続ける人生は始まったのである。
若いからこその浅はかさとでもいうのだろうか、否、恐らく若いからこそ選択肢が多いという錯覚をしていたのである。
今やその選択肢とやらもない。大げさではなく私にはもう何もない。あれから年を追うごとに、そしてこの数年ではっきりとその事が分かる。




 - おっさんの期間工日記