It doesn't matter なぜ動詞?

      2024/03/26

動詞化する名詞

What’s the matter? のmatterは名詞 英会話でよく耳にするmatterってつまりどんな意味?
It doesn't matter のmatterは動詞 【英会話】「It doesn't matter !」ってどんな意味?

らしい

さて、It doesn't matterは重要ではないとか関係ないとかいう意味になるが、重要ではないと日本語に訳すと「重要」という名詞を否定することになりはしないか?

そもそも動詞とは?
「事物の動作・作用・状態・存在などを表す語で、形容詞・形容動詞とともに用言に属する」
らしい
じゃあ重要という日本語は名詞なのか動詞なのか?

「重要」は形容詞ですか?動詞ですか?品詞を教えてください!
学校文法では形容動詞か名詞ですが、他の回答にもあるように、

>「重要」だけなら、名詞です。 「重要だ」「重要な」などと使われたら、形容動詞です。

ということで、形容動詞は「だ」「や」を活用語尾とする一語、名詞の場合は語幹だけという矛盾した定義になっています。

正しくは、「重要」が一語で、属性表現の語である場合と、実体の表現である名詞の場合があるということです。「だ」「な」は一語の助動詞です。

属性表現の語としては同じ静的な属性を表す形容詞がありますが、これは活用を持ちます。したがって、これらを合わせ静詞と名づけ、その下位区分として形容詞とするのが適切な名称であり、品詞区分です。■

「重要である」か否かというその事物の状態というか存在そのものを評価する場合は少なくとも名詞としては使っていないということのようである。
従って、日本語で言う重要という単語は名詞にもなるし動詞にもなりうる、としておこう。

no matter とdose not matter は何が違うのか?

「no matter〜」の「matter」は名詞か動詞か?
なんと、no matterのmatterも動詞として使われており、意味は同じだそうである。
ここで思い出す。NO WAR で悩んでいたあの時期を(笑)
NO WAR は戦争反対なのか戦争ではないのか悩む日本人
NO WAR は日本語的に訳すと戦争反対となる、らしいが、なぜ戦争ではないと訳さないのかという問題提起である。
一般的には「no は名詞を修飾する形容詞、notは動詞や形容詞、副詞を修飾する副詞」という説明がなされるが、これが混乱のもとだったのだ。
やはり、no は 直後に来る言葉を否定するものであり、動詞や名詞という区分ではなく、その存在、や状態を否定するという評価を与えているのだろう。
というよりも否定することによって単なる事物にネガティブな存在価値が与えられると理解した方が分かりやすいのかもしれない。
日本語で言う「重要だ」とか「重要ではない」のように「だ」とか「ではない」がくっつくことによって名詞ではなくなると言われるのと同じだろう。
名詞というのは「りんご」などのようにその存在の名称のことを言うのであって、重要などの単語は前後になんらかの言葉がくっつくことによって存在意義のある単語である。重要か重要でないかは動詞的に使われているが、重要書類は形容詞的に使われているだけの話である。ある文章に重要という表題がついている場合は名詞ではなく重要であるということが含意されているとみるべきだろう。
つまり、動詞か名詞が先にくるものではない。

一つの文章全体で判断する

動詞だからこういう意味になると理解するのではなく、一つの文章を一塊にして理解する必要がある。

matterという単語の本来もつ意味自体は事柄などのある事物を指しているようである。これが動詞化すると重要と説明されているが、この場合は「重要ではない場合」にそうなるのであって、重要な場合にIt is matterとは言わないだろう(多分)。
従って、説明としてはミスリードを含んでいることになり適切ではない。動詞化するから「重要」という意味になるのではなく、事柄、その存在自体を否定しているとみるべきであろう。事柄そのものを否定しているのだから取るに足らないものである、考慮に値しないとかそういう意味合いであって、動詞化して「重要」になる、などというロジックは有害である。

no parking

そう考えると
NO MUSIC NO LIFE は音楽というものがない → (それは)人生ではない 音楽がない人生は人生ではないという解釈になり
NO FOOD NO DRINK は 食べもの(ること)がない → (それは) 飲みもの(むこと)がない 食べることがなければ飲むこともないとか食べ物も飲み物もない、というあまり真意が伝わらないことになりかねない
NO PARKING だと駐車することを否定するので駐車禁止になるが駐車場を否定することになるが、日本語では駐車禁止と訳される。しかし、駐車禁止ではなく駐車場ではないとした方が適切だろう。 NOを使って駐車することを否定するあるいは禁止するのであれば名詞を使わなければならない(駐車という名詞が英語にあるのか?)NO PARK だと公園を否定することになりそうだ。

※追記
どうやらparkそのものを間違っていた(笑)parkでどうやら動詞として使われるようである。そうすると、no の後ろには使えないじゃないか。parkingは駐車場とばかり思っていたが、駐車しているとも訳される(ネイティブがどう言うかは分からないが機械翻訳では確かにそうなる)

これらを踏まえ改めてNO WAR の意味を考えると、確かに戦争そのものを否定しているのは間違いない。しかし、戦争ではないと解釈することも可能なはずだが世界常識的にはそうはならない。ここがポイントである。
重要とは逆に戦争という言葉は基本が名詞ではなく動詞的なものなのだろう。例えば大東亜戦争のように前後一塊にして名詞化すると言っていい。
戦争とはそもそも国と国との武力衝突の状態を表す言葉であるとするなら確かに存在や状態を表しているので動詞的と言っていい。
そういう状態を否定するのはそういう状態ではないということと意味が違う。

warが動詞的に使われてそれを否定する場合にはnot
この場合は戦争そのものを否定しているのではなく、当該戦っている状態が戦争ではないと言っている
これに対して名詞としてのwarを否定すると戦争そのものを否定しているとなるのだろう
この点no matterの場合は副詞的に使われる場合や、does not matter の省略として使われる場合もあるようだ(笑)

否定する対象の違い

戦争そのものを否定する
この戦いは戦争ではない

いずれにしろ NO WAR だけで世界の英語が分かる人はそれが理解されているということに愕然とするのだが。。。

NOとNotの違いを小学生でも分かるよう教えて下さい
no は「存在しない」という意味です。not は分かりますよね。

わざわざこの2つの単語を関連付けて覚える必要はありません。無駄に関連付けようとしているからややこしく感じているのです。

There are no pockets in these pants.
このズボンにはポケットがないです。

No man is without his faults.
欠点のない人は、この世に存在しない。

確かに、NOは名詞を否定とかNOTは副詞でとか言われると余計混乱するな(笑)

つまり
「この戦いは戦争ではない」 this battle is not a war
は戦争を否定しているのではなく 「is」を否定している
isは要するに主語と述語をイコールでつないでいるものであり、主語と述語がイコールではないという意味を表していることになる。
そうすると、この戦いが戦争かどうかと言えば戦争ではないと言っており戦争を否定しているわけではないと言える。
「この戦いは戦争である」という命題=文章そのものを否定していると考えられることになる。
つまり、この戦いは戦争ではないと訳すのではなく、この戦いは戦争であるということは否定されると訳すべきなのだろう(笑)

まとめ

ということで本題に戻ろう
It doesn't matter はなぜ動詞か?
仮にIt is not matter という文章だと、それは問題ではないと訳されると一般的には言われている
なぜ重要ではないと訳されないのか?
それはmatterそのものの持つ意味に重要がないからに他ならない。
ある種の事柄、ある種の事項を否定するとまるで存在そのものを否定しているようにとらえがちだが、
isを否定するととらえると、それはある種の事柄であるということが否定され、事柄自体が否定されているわけではなく、
「それ」が事柄であるということが否定されているに過ぎない。
しかし、It doesn't matterやno matter などは matterそのものを否定していることになり、ひいては存在そのものを否定している捉えられる。
これはmatterが動詞だからそういうふうに解釈すると捉えるべきではなく、文の構造上そうなると理解すべきなのである。
つまり、重要な問題ではないという風に言いたいならbe動詞でつなげてはいけないということなのだろう。
仮にbe動詞を使う場合はIt is no matter になるのだろうが、どうやらネイティブはこういう言い方、no matter 自体を使わないらしい。
それは文法的に問題があるのかもしれないし、またNO WAR のようにそもそも動詞的な単語であれば理解しやすい標語的な言い回しではなく、matter自体は名詞的なものなのでNO MATTER のように表現すること自体が分かりにくいものになるからであろう。

日本語としてはどうなのか?

それは重要ではない、という場合重要を否定しているようにみえるが実はそうではなく「それが重要である」ということを否定しているのである。
重要そのものを否定していないが、これは文章の構造だけからでは判別できない。
日本語は曖昧な言語である、などと言われる所以はこのあたりにもあるのだろう




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