ひろゆき氏は詭弁王なのか?賠償金は請求されていないから払わないだけ

      2022/06/22

賠償金を払わないのは請求されていないからとのたまうひろゆき氏

ひろゆき氏、「2ちゃんねる」巡る賠償金〝踏み倒し〟疑惑に「請求権切れている」と反論 乙武氏は「有権者に判断委ねる」
賠償金を受け取っていない人から「なぜあんな男がテレビに出ているのか」という心境を聞いていると質問者が続けたのに対して、ひろゆき氏は「請求権は切れているはずなので、切れていない方で連絡を取れた方はいますか」と逆質問。「たくさんいる」などと応じた質問者に対し「裁判の話は10年で時効になるので、時効になっていない人がいるなら、誰か知りたいですね、純粋に。10年経つと裁判が無効になってしまうはずなので、請求権はないはずなんですよ」

ひろゆき氏が2ちゃんねるがらみの訴訟で損害賠償債務を弁済していないという話は結構有名だと思いますが、そもそもそういう人物がなぜ大手メディアでコメンテーターとして出演できるかも議論のあるところだと思います。
実際にどれくらいの損害賠償債務があるのか?あったのか調べていたところこんな記事を発見。

“論破王”ひろゆき、30億円損害賠償踏み倒しの真相、2ちゃんねる&ニコニコ動画開設の裏話:じっくり聞いタロウ
これに対し、ひろゆきは、訴えた側は削除依頼だけでは裁判を起こしにくいため便宜上賠償金を請求していた場合が多かったと説明。実際、「削除」が目的のため、賠償金を請求してきた人は2~3人だったという。

支払いは10年で時効。ひろゆきは、相手から賠償金を請求されなかったので支払わなかった。一見、不誠実な対応に見えるが、損害賠償を認める判決を受けた人がひろゆきの財産を調べ差し押さえることもできるのだ。

一部のネット界隈では損害賠償30億円を踏み倒したとウワサがあるが、その真相は...!? ひろゆきによると、例えば「賠償金30万円と削除、払わない場合は1日5%の利子がつく」という判決もあり、全ての賠償金の10年間の利子の総額はすごい額になるため、ネットでは想像で噂されているのだという。「総額何十億円って言われるけど、何十億円払えって判決を受けたことはないんですよ」とひろゆき。

ひろゆき氏が賠償金を支払った事例

ひろゆきが賠償金を払った理由(深水英一郎氏寄稿)
一部抜粋 ※リンク先が消失するかもしれないので最後の方に全文を一応のせておきます。
昨年法律が変わって、賠償金払わないと刑事罰になったんです。なので、これまでは賠償金を払わずに逃げられてたんですが、そうはいかなくなりました。ひろゆきはこの法律改正を知っていて、刑事罰を受けるのを避けたかったんだと思います。

賠償金を払ってもらう人(債権者)が裁判所に申し立てれば、賠償金を払うべき人(債務者)を裁判所に呼び出し、自分が持っている財産について述べさせることができる、というのが財産開示手続なのですが、この罰則が強化されたのです。
その罰則は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰。
つまり、賠償金を払わずに逃げ続けることは、前科のつく立派な犯罪だ、ということになったのです。

この法律の改正はそもそも、ひろゆきの司法に対する挑発的な発言に刺激を受けておこなわれたものだ、とも言われています。真偽はわからないですが、さもありなん、という話ですよね。

じっくり聞いタロウの方では請求されなかったので支払わなかったと言っています。60万は請求されたので支払ったという事でしょうか。しかし、「「削除」が目的のため、賠償金を請求してきた人は2~3人だったという。」
請求してきた人が少ないのではっきり覚えていそうですが、他の人には支払っているのでしょうか?
削除目的できちんと削除されれば確かに賠償金まで請求しなさそうですが、名誉棄損で訴えている人もいるでしょう。そういう場合はどうなのか?
記者会見では、時効なのでいいでしょ、的な感じですが、本当に請求してきていないのだとすれば請求してきてないので支払っていないだけ、請求されてきたら支払いますよ、と堂々と言えば良いと思いますがそう発言しないのは支払うつもりがないし、本当に時効になっているので支払う義務もないと思っているのでしょうか。
とはいえ、実際の賠償額はいくらなのか?請求されているにしろしないにしろ、現状どのような状況なのか?

実際のこれまでの賠償金はいくらくらいなのだろうか?

2ちゃんねるの開設者、西村博之氏は様々な民事訴訟に敗訴し、数億円の損害賠償金の支払義務が生じていますが、全く支払うつもりがないようです。資産や収入があっても損害賠償金がとれないのは法制度の不備ですか?
①西村氏側に損害賠償を命じた民事事件は 西村博之 - Wikipedia に列挙されているもの(西村氏/2chに命じられた賠償額は総計で2000万円程度)でほぼ全てと考えられますので,数億とか数十億という金額は「盛りすぎ」
※一方,単に「ネットの書き込みの削除」を求めるだけであれば,通常は非公開の民事保全手続(仮処分申立)で足りますし,そもそも裁判所の決定も必要ないことが多いです。(下記御参照下さい。)
送信防止措置手続-名誉毀損・プライバシー関係送信防止措置手続
【2020年版】5ちゃんねるに対する削除&発信者情報開示請求の状況 | CYBERARTS LAWOFFICE

平成14年5月のプロバイダ責任制限法施行 によって,2ch等のサイト管理者を含む通信事業者の責任が明確に限定され,同法に従って送信防止措置(削除)や発信者情報開示に応じてさえれば損害賠償等の責任を負うことは無くなりました。

名誉毀損や業務妨害の主たる責任はあくまでも「書き込んだ本人」に帰するものであると理解されるようになりました。その為,同法施行前の事件(平成13年(ワ)15125号) や, 西村氏自身の発言の責任を問われた化粧品会社の事件 を除いては認容された賠償額は概ね1件あたり100万円程度であり,数百万円もしくはそれ以上の大きな額の賠償を命じる判決が出ることは無くなった

この記事は結論として
「西村氏の賠償金"未払い"問題は,実は現時点において解決済なのであろうと考えるのが自然,」
賠償額が2000万程度ということ、未払い問題が解決済みかどうかは直接関係ありませんよね。逆に言えば2000万程度の賠償金ならそれこそ請求されればすぐに支払えるはずです。なんせサラリーマンの生涯年収を1年で軽く稼ぐ人ですから。
この記事でもはっきり述べられているのは未払いという点です。未払いだからこそひろゆき氏は時効という表現を使ったのだろうと思います。
確かに請求されていないから支払っていないのかもしれませんが、だとするならそう発言すればよかったと思われますがなぜそうしなかったかと言えば上記記事でも言及されていますが、マスメディアでコメンテーター等の仕事をやっていく上で現在進行形で訴訟リスクを抱えているのはよろしくないと判断したからかもしれません。
とは言え、理由はどうあれ支払わなかったことに違いはないわけですが。
いずれにしろ、メディアで仕事をしようという人は色んな意味で目立たたないと商品価値もありませんから色々と話に尾ひれをつけたりするもので、どこからどこまで信用していいのか分かりませんな。

賠償金を踏み倒されないようにする強力な制度ができた

紹介した記事の中でも触れられていますが損害賠償債務を踏み倒されないようにかなり強力な制度ができたようです。
資産調査 / 財産開示手続き、無視すれば豚箱 — ひろゆき氏が損害賠償金支払い
今まで行政や警察税務署などしかできなかったような事が一定の制約はありますが個人でもできるようになったのが一番凄い点かもしれません。刑事罰ってそのスジの人間には何も効果がない場合もありますしね。
最終的にはやはり金ですよ、カネ、マネーですがな(笑)
詐欺なんか被害額全て弁済させるようにして、国が徴収代行してくれればいいのに。捕まり得は許しまへんで!

強制執行や財産開示手続きが不成功の場合、不動産、勤務先、預貯金、株式等の情報取得手続きも利用できます。ただし、情報がいろいろあり、これをやったから、資産調査が完璧にできるという程の威力はありません。

不動産情報
不動産情報取得のポイントは、以下の通りです。

法務局から、不動産の情報を取得できます。
強制執行をやって、不成功場合にのみ利用できます。
財産開示手続が不成功の場合のみ利用できます。
勤務先情報
市区町村や年金事務所から、債務者への勤務先(給与の支給者)の情報を取得できます。ただし、以下のような制約があります。

強制執行が不成功の場合にのみ利用できます。
財産開示手続が不成功の場合のみ利用できます。
婚姻費用や養育費、生命身体侵害の不法行為(傷害等)の場合のみ利用できます。
預貯金情報
銀行等から、預貯金情報(支店名,口座番号,残高)を取得できます。これは、強制執行をやって、不成功だった場合にのみ利用できます。

また、情報取得する銀行を指定しなければなりません。横断検索ではなく、1件毎のしらみ潰しです。

株式情報
株式情報取得のポイントは、以下の通りです。

証券会社から、上場株式・国債等の情報を取得できます。
強制執行をやって、不成功だった場合にのみ利用できます。
また、情報取得する証券会社を指定しなければなりません。横断検索ではなく、1件毎のしらみ潰しです。
詳細は、裁判所の第三者からの情報取得手続を参照してください。

ひろゆき氏がとうとう賠償金を支払った理由

ひろゆきが賠償金を払った理由(深水英一郎氏寄稿)

先日、僕がひろゆきから初めて賠償金をとったとして報道などされたのですが、今回の件を通して「民事執行法」「財産開示手続」の強化のことをもっと世の中に知ってもらった方がよいと思って記事を書いてみました。

▼FLASH『論破王ひろゆき、ついに賠償金を払う「60万円振り込んできた」当事者が顛末明かす』

論破王ひろゆき、ついに賠償金を払う「60万円振り込んできた」当事者が顛末明かす

 また、ひろゆきはなぜ賠償金を払ったのですか、という質問をちょくちょく受けるようになったので、わかりやすくまとめておきます。

■ ひとことでいうと
 昨年法律が変わって、賠償金払わないと刑事罰になったんです。なので、これまでは賠償金を払わずに逃げられてたんですが、そうはいかなくなりました。ひろゆきはこの法律改正を知っていて、刑事罰を受けるのを避けたかったんだと思います。
私も、賠償金の支払いがなければアクションせざるを得ないかなと考えて準備を進めていました。
そしてひろゆきも、私が財産開示請求や差し押さえまでやってくるかもしれないと予想して、支払ったんだと思います。
■ もう少し詳しく説明
 のらりくらりと支払わない人から賠償金が取れない問題に対応するため2020年4月1日に改正されたのが「民事執行法」です。この法律改正で、財産開示手続が強化されたのです。

 これまでは、相手がどこにどのような財産を持っているかわからなければ、その財産を差し押さえることはできなかった。でもそれって、相手が隠す気になれば、どこに財産があるかなんて、知りようもないわけです。
だから、ひろゆきのケースみたいに、払う気がなければ払わずに逃げられたわけですが、その問題に対応するため、財産開示手続が強化されたのです。
賠償金を払ってもらう人(債権者)が裁判所に申し立てれば、賠償金を払うべき人(債務者)を裁判所に呼び出し、自分が持っている財産について述べさせることができる、というのが財産開示手続なのですが、この罰則が強化されたのです。

 その罰則は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰。

 つまり、賠償金を払わずに逃げ続けることは、前科のつく立派な犯罪だ、ということになったのです。
実際、2020年10月には書類送検の事例も発生しています。ひろゆきはその重い罰を避けるため、私に賠償金を支払ったのだろうと思います。

▼カナコロ『裁判所出頭せず…「無視していれば諦めると」 初の書類送検』
https://www.kanaloco.jp/news/social/case/article-274315.html
要するに、ひろゆきでも無視できないほど強力な制度キター、ということですね。

この法律の改正はそもそも、ひろゆきの司法に対する挑発的な発言に刺激を受けておこなわれたものだ、とも言われています。真偽はわからないですが、さもありなん、という話ですよね。
そして、たまたまなんですが、私がその張本人であるひろゆきから賠償金をおそらく初めてゲットした、ということなんです。つまり、私は法律改正の恩恵を受けた、ということになります。

■ これからは、泣き寝入りする必要はありません
 ひろゆきが払った、というのはむしろ些末な出来事で、これはもっと大きな話だな、と私は考えています。
まだ世の中にたくさんいらっしゃる、勝訴判決を得たものの、賠償金を支払ってもらえない、というみなさんにとって、これは前向きで明るいニュースです。
これからは勝訴しても賠償金を払ってもらえない、と泣き寝入りせずに、きちんと手続きをして、逃げようとする相手を追い詰め、賠償金を支払ってもらいましょう。

■ 財産開示手続はたったの2000円+切手代でできる
 裁判所のウェブサイトにありますが、申立は2000円+切手代でできます。
切手はあらかじめ6000円分預ける形となっており、余れば返却されます。

▼裁判所『財産開示手続を利用する方へ』
https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/zaisankaizi/index.html
よくわからない場合は、裁判所に電話してきいてみると良いと思います。裁判所は、一般人にはわりと丁寧に対応してくれます。
実際私も、最終的に個人で裁判を進めたのですが、裁判所の方はとてもやさしく親切に対応してくれました。
費用をかけてもよい方は、改めて弁護士さんに相談するのもよい方法だと思います。
財産開示手続をしても、4割は顔も出さなかった、というデータを見たことがあります。この数が少しでも少なくなり、勝訴した人が賠償金を受け取れればよいな、と思います。

▼今回の問題について話した動画『「ひろゆき」に損害賠償請求の裁判をして自力で賠償金を回収した漢に話を聞いた』
https://www.youtube.com/watch?v=zJUMXC-9dP0

賠償金を払わないのは法律が悪くて法律がないからというひろゆき氏

※追記
またヤフーニュースにこんな記事がでてました

ひろゆき氏、「2ちゃんねる」の賠償金“30億円”踏み倒しは「全く悪いと思ってない。悪いのは法律」
この件について、視聴者から問われると「あれは悪いと全く思ってなくて、法が悪いと思ってたんですよ」と、持論を展開する。「今の日本だとプロバイダ責任(制限)法ってのがあって。ツイッターでもフェイスブックでもいいんですけど、何かしらの名誉棄損的行為が起きましたと。そのとき、サイトの管理者がそのことを知らなかったら、一切責任はないんですね。僕が『2ちゃんねる』やってたときは、その法案が無かったんですよ。なので、誰かが『死ね』って書き込んで、そのことを訴えられたら、僕が100%負けてたんですよ」と、説明。

 「さすがにまずいってことで法律が変わって、管理者が知らない場合は問題なくて、知ってから対応すれば、責任は取られないってことになったんですよ」といい、「それまでは、お金払ってくださいっていう判決が出てたんですけど、お金を払わないといけないという法律もなかったんですよ。“どんな変な法律でも従うべきである”のだとしたら、僕がお金を払わないのもアリなんですよね」と、自身が賠償金を払わなかった理由について語った。

以前プロバイダの責任についてこんな記事を書きましたが→youtubeはいいけどFC2はなぜダメなのか自己解決した件
プロバイダの責任があるとされるときは
1.情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。

2.情報の流通を知っていた場合であって、サービスプロバイダの情報流通によって、他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。

ひろゆき氏はサイトの管理者が知らなかったら責任はない、と言っており、確かにそれ自体間違いではないですが、仮に名誉棄損で訴えられている、もしくは管理者に削除要請がきていた、にも関わらず当該名誉棄損的な書き込みを放置していたら責任があるとされる可能性も否定できませんよね。
名誉棄損かどうかは最終的には裁判所が判断するので、削除要請がきたとしても名誉棄損かどうかは分からないから削除要請に必ずしも応ずる必要はない、ともいえます。だからプロバイダ責任制限法は削除を義務づけるものではない。
そこで、削除要請なりなんなり被害を受けたと主張する人から何らかのアプローチを受けたらそれなりの対応をすべきであって、それを放置しているから裁判にまで発展するとも言えます。
勿論、単なる勘違いや嫌がらせなどもあるでしょうが裁判にまでうってでる場合は法的に名誉棄損だとか侮辱だとかは別として真摯に対応すべきものであることはある程度分かりそうな気もします。
過去の発言から裁判所から削除命令及び損害賠償の支払い命令が出た後に、損賠賠償金は支払わず、削除だけはしていたと考えられますが、削除だけを行っていたとすると、なぜ削除だけをしたのかはよく分かりません。法律が悪い、自分は知らなかったから責任はない、という理屈は分かりますがだとすると削除する責任もなさそうですが、削除だけはして賠償金は払わなかったと。
そうすると、お金を払わないといけないという法律はないから払っていないと言う。
だとすると、削除しなけらばいけないという法律があるから削除したかのようにも聞こえますが、どの法律の事でしょうか。
そもそも、お金を払わなければいけないという法律がない、という意味がよく分かりませんが、少なくとも裁判所がお金を払えという判決を出したら、それに従うのが法治国家の国民です。結局これはお金を払わなければいけないという法律が仮になかったとしても従うべきルールでしょう。

それと賠償金は請求されていないから払わなかったんじゃなかったですかね?払わなければいけない法律がないから払わなかったということなら請求はされていたんでしょうか?
最終的には時効だからいいんです。。ということですが、ちょっと気になるのは強制執行が行われていた場合です。
差押えなどが行われていたとしてもいずれにしろ強制執行は空振りだったことになりますが、差押えも時効の中断事由です。

消滅時効の中断
通常(空振りでない場合)は強制執行申立の時点が中断となります。
強制執行を申し立てたが、差押対象目的物に資産価値がない、若くは 差押禁止物だった等若しくはその他の事情で強制執行が執行不能になった場合についてどうなるのか?
実務現場で良く遭遇するのは債務者の口座を差し押さえたが、空(0円)だった。または口座自体が無かったという事例です。
過去のある判例では、差押目的物に対して執行が不可能になった場合に、債務者への「差押命令」の送達がされている事例において、消滅時効は中断されるとされました。(判例)

時効を中断させるために債権の確認訴訟を起こさなくても強制執行を繰り返せば時効が中断されることにもなりますよね。そこらへんどうなのか?

ちょっと頭が痛くなってきました(笑)




 - 素朴な疑問