バイナリーオプションは儲からないのか?

      2024/03/28

追記 20240315
追記というよりは訂正改訂と言ったほうが適切かもしれない。その後何度か取引をしていて新たな気づきがあったので改めて備忘録としておきたい。

オプション価格が高い ※IG証券のバイナリーと比較しても高めだと言える
スプレッドが高い ※基本的には100円のスプレッドがある
GMOクリックに限って言えば胴元はオプションの売り方となるので、オプション価格が高いという事は売り方有利買い方不利である。
ペイアウトの上限が1000円に固定されている。これがもっとも重要な点であると言える。少し掘り下げよう。
通常のオプションの利点の一つに利益無限大がある。勿論これは机上の空論で価格が無限大に上昇することなどないが、権利行使価格にインした場合に売り方の損失に上限が設定されているということであり、買い方の利益に上限があるということになる。
通常のオプション価格はブラックショールズによって、期待値=リターンが反映されている。しかし、バイナリーオプションでは原資産のリターンでオプション価格が形成されていないということになる。いや、仮にそうだとしてもペイアウトが限定されているので結局高いオプションを買わされているだけということになる。
これはボラが高い時にこそ如実に表れてくる。

通常のオプションでは、ボラが高ければオプション価格も高くなる。これ自体は問題ないが、バイナリーオプションだとインしてもリターンがそれに追いつかないという事態になる※もっとも、ボラが高い状態でもバイナリーオプションの価格はあまり上がらないようである。
従って、ATMに近いオプションほどインしても想定リターンより少ない実入りしかないということになる。
ファーアウトのオプションはインする確率も低ければ仮にインしたとしてもそこからさらに大きくディープインするほどのボラがなければリターンも少ない。
しかし、バイナリーオプションの場合は1円でもインすれば(GMOは多分同値でもOKだと思われるが)インした値幅に関係なくペイアウトが満額貰えるというメリットがある。もっとも、インする確率自体は当然低いが。

〇バイナリーの買いはコールデビットやプットデビットを買っているようなものである
言わば、バイナリーオプションの買いは利益も損失も限定されたデビットを建てているようなものと言え、更に言えば、通常のデビットよりも割高なコストを払わされているものだと言える。

例えば通常のオプションで

@30000のコールオプションを100円で買って@30500のオプションを50円で売ると、原資産が30500円以上になれば450円の利益となる

バイナリーオプションは@30000のコールを550円で買わされているようなものである。1円でもインすれば1000円は戻ってくるが、インしなければ550円の損である。

他方ディープインしている場合通常のオプションは先物を売買しているのと同じようになるが、バイナリーオプションではかなり違ってくる。

原資産が30000円で権利行使価格が29000円だとすると、バイナリーオプションの価格は設定当初であれば900円ちょっとである。29000円以上で満期を迎えても利益は100円に満たず、反面29000円に満たなければ損失は900円強になる可能性があるので一見すると割に合わなさそうである。
しかし、通常のオプションは29000円に下がるまでの間、下がれば下がった分損失となるが、バイナリーオプション仮に29010円まで下落して満期を迎えても1000円のペイアウトとなる。

〇リターンの上限が決まっているのでコストがそれ以下にならなければ利益がでない※建てる前から投下資金をどれくらいにしなければいけないかが判明する
〇リターンの上限があるので、利益を増やすには勝率を上げるか、負けの時の損失をできるだけ少なくするしかない
〇通常のオプションであればレンジアウト戦略ではリターンの増大が見込めるがバイナリーではそれがない
〇1円でもインすれば1000円のリターンになるが、逆に言えばそれ以上は利益にならない。これはオプションを売っている状態と同じである。

以上から言えるのはレンジアウト戦略よりもレンジイン戦略をとったほうがベターということになる。もっとも、インした場合のロスが大きくなる可能性があるため、権利行使価格をどこにするか、及び損切りを適宜行う必要がある。

800円のオプションをレンジインで両建てし、レンジ内でおさまれば利益は400円である。仮に50%の確率で損切りと想定すると1回あたりの損切り額300円でもトータルでは利益となる。

バイナリーオプションは本当に儲からないのか?

動画は見てませんが投資界のカリスマ、テスタさんが言っているのだからそうだろう。と、思考停止するのは何事もよくありません。
検証してみましょう。

バイナリーオプションはなぜ儲からないのか?

日本の証券会社で認可されているバイナリーオプションは概ねペイアウトが固定され、期間が2時間以上で設定されているものが多いようなのでこれを対象にしてみましょう。いわゆるハイローみたいなものは除外します。
何故“バイナリーオプション”は儲からないか
まず、勝率5割だとしてもペイアウトされる金額が購入金額の2倍を切れば儲からないのは当たり前です。やる人は当然勝率がもっといい、俺ならできると思ってやっているはずです。
株の期待値の場合でも同じですが、期待値が+のときだけやれなんて言うのはナンセンス。期待値はそもそも想定困難と言わざるを得ません。
とは言え、ではペイアウトが2倍以上の場合の勝率はどうなんだ?あるいはそもそもオプションの購入額はどういう計算で価格付けされているのか?と素朴な疑問が生まれてきます。あくまで業者との相対取引なので業者が長期的に負けてしまうようなルール設定、条件設定にはなっていないはずです。
では、逆に業者目線で損しない、要するに儲かるような仕組みになっているのか?競馬などのギャンブルでは払い戻し率などがありますが、払い戻し率が低かったらやはり長期的にみると厳しいでしょう。
しかし、そもそもですがこういったオプションと銘打っているものに払い戻し率なんて設定するのはおかしいですよね?払い戻し率

バイナリーオプションもブラックショールズでオプション価格が算出されているようだ

そこで気付いたのはペイアウトが1000円に固定されている点です。通常オプションの売り手は権利行使価格にインしてしまうとその価格差を支払うことになるので下手するといくら損失が増えるか分かりません。しかし、1000円に固定されているということは損失の上限額が限定されていると考えることができるので業者にとってはテールリスクがなくかなりのメリットと言えます。
その反面、仮に1円でもインしてしまうと売り手としては10円で済むところでも1000円支払うことになりデメリットとなる。これはここに付け入るスキがあるのではないかと思ったもののこの当たり実際どうなのか?
そもそものオプション販売価格が割高であれば結局そこで相殺されてしまいかねない。ということはやはり、オプションの販売価格がどのように価格付けされているのかが重要になってくる。

バイナリーオプションの構造的特徴から儲けを掠め取れないか?

ペイアウト、要するに払い戻しが1000円で固定されている
払い戻し率が90%前後が多い
ブラックショールズがベースになっている

ブラックショールズがベースになって各社独自の基準によって価格付けがされているようである。

ブラックショールズ計算式では上下の確率は50%の正規分布である

そうすると、騰落率を元にした標準正規分布が利用されているということになる。要は上昇確率下落確率50%である。
±1σ は合わせて約70%程度の確率=割合ということになる。
ブラックショールズでは結局想定リターンに各σの割合を乗じたものをオプション価格としているとざっくりと言えるので、バイナリーオプションの場合は1000円が想定リターンと言える。
そして、この場合は上昇なら上昇側にインする下落なら下落側にインすることだけを対象にするため、割合は上昇なら上昇側の中でのσの割合となる。従って+1σの割合は約35%となるが、ATMから上全体の確率は50%なのでペイアウト1000円とすると適正価格は約500円程度だろう。そしてこれに払い戻し率を勘案して50円前後が加算されると推測。

払い戻し率からみた業者の手数料は決して不利な価格設定ではない

上場下落の価格分布がブラックショールズ通りの正規分布を描くとすれば払い戻し率が悪ければ悪いほど我々には不利となる。
とは言え、95%程度の払い戻し率であれば、日経225の100円のオプションのスプレッドが5円で考えると不利だと言えない払い戻し率なので550円程度は適正価格と言えそうである。

一見ボラティリティは関係ないように見えるが

ブラックショールズでの価格付けがベースにあって、ペイアウトが1000円固定だとボラティリティが低かろうが高かろうが結局500円がATMの適正価格となるはずだ。
バイナリーオプションはプレーンオプションの合成によって組成されるものであり、その価格がプレーンオプションと比べて低くなるとは限りません。

ペイアウト1000円の固定のメリット

通常ディープインしたオプションの価格は当該インした価格より若干高い価格付けである。
原資産の価格が30000円のとき、権利行使価格30500のプットはIVや残存期間にもよるが少なくとも500円以上はする。時間価値などのプレミアムが加算されているのが普通である。これは残存期間が長ければ長いほど高くなる。
しかし、バイナリーオプションの場合はこれが逆になる。設定当初はディープインしていても1000円以上の価値はつかない。逆に1000円以下の900円前後の価格設定となっている。
仮に900円だとすると、これからいくら原資産価格が下がろうが儲けは100円にしかならない。逆に権利行使価格をわずか1円でも上回ってしまうと(GMOは同値でもよいようだ)ゼロ円の紙切れとなってしまう。100円儲けるために900円の損失はコスパが悪いと思う人が大半かもしれない。
しかし、通常のオプションでディープインしたプットで儲けるにはそこからさらに下落しなければならないが、バイナリーオプションの場合は下がる必要がない。当該権利行使価格未満であれば利益となる。つまり、下がるだけでなく上がった場合も一定範囲で利益がでることになる。
そもそも論として、バイナリーオプションもブラックショールズがベースとなっており、ボラティリティが低い時はそうそう大きな変動はない。
ATMから3σほど離れていれば基本的にはほとんどインすることはない。ディープインの場合はそれ以上突き抜ける確率はほとんどないと言える。従って通常のオプションであればこういうオプションをショートして利益をあげようとする。バイナリーオプションの場合は客がショートすることはできないので言わばディープインしたものを買う事によって代用すればいいということになる。利益が固定されるというのは通常のオプションでも同様。
問題は権利行使価格を突き抜けてしまう場合になるが、通常のオプションは損失は固定されておらず損失が膨らむ可能性がある反面、突き抜ける幅が少なければトータルで利益となる場合もある。他方、バイナリーオプションのディープインしたオプションは権利行使価格に到達してしまうと価値はゼロになってしまい、言わば損失が購入した金額に固定されてしまう。
この点をどう考えるかはその人次第だろうが、ブラックショールズの理論から言えば、上記の30500円のオプションが+3σ付近だとするとインしてしまう確率は限りなくゼロになる。

ラダー取引の権利行使価格の設定からみる業者のボラティリティ予想

実際のバイナリーオプションのラダーと言われるものの価格付けをみると、

開始時点 ATM28259を境に上に約60円刻みで3本下に3本
60円/28259 = 0.21% 1σと考えるとかなり狭い 3h=1.73 1hボラ0.12%程度はいかにも低いが仮に1σだとすると3本目を超える場合が2σ超となる。そうすると3本目を超える部分の確率は15%程度なのでペイアウトから考えると150円が適正価格でそれに払い戻し率から考えたいくらかの業者マージンが加味されることになるはずである。
これを実際の価格でみると、既に残り時間が1時間半程度になっているので一概に言えないが、
現在値 28358 権利行使価格28377から3本離れているのは 28200 で価格は157円となっているのでやはりそのようなボラでの計算とみていいようである。

とは言え実際の1日の日経平均の変動率とそれに対しての1時間でのボラはもっと高くなると思われるので、アウトのイン確率は業者の想定(この場合はGMOクリック)よりも高くなりそうである。
つまりざっくり言えばインする確率15%で算出されたオプション価格が、実際のインする確率が仮に20%と高いのであればそれは割安価格と言えることになる。
そうすると当該オプションを機械的に買い続けると(割安価格で)勝率は2割にしかならないもののトータルで利益がでることになる。
例えば160円で買い続けた場合、8回は紙屑になるが(-1280円)2回の勝利で160円×2回投資して2000円が戻ってくるので利益は1680円。損した額1280円を差し引いてトータル400円の利益となる。イン確率が15%とわずか5%の低下でも長期的にマイナスリターンとなる。
もっとも、トータルで仮に+であっても勝率2割のトレードは誰もやらないだろう。そもそもあくまでこれは仮定に基づく仮定、推測に基づく推論である(笑)

結論

払い戻し率と称されているものは確かに90%前後以上と高いが、売値と買値のスプレッド最大100円と高すぎる(GMOの株BO)。
特にアウトオブザマネーのスプレッドは100円で固定されているようで、150円の売値に対して買値が50円、スプレッド率はなんと7割を超えることもざらである。
これは要するに業者の手数料率が7割などという法外な手数料率に設定されているということである。従って、途中売却をするのではなく、購入したら基本満期まで持ち越す前提でないと頻繁に途中売却をしているとほぼ儲からないだろう。
300円のオプションを買ってすぐに売却しても200円にしかならない。
また、時間価値の減価も著しいので30分ほどたつと相場が動いてなくても価値は半額とかザラである。

従って、ほとんどの人が儲からないと考えてよいだろう。手数料率7割などというのは狂気の沙汰である(笑)

儲からないとはどういう意味なのか

しかし、よくよく考えてみるとこの儲からないとはどういう意味なのか(笑)テスタさんが儲からないと言っている意味は動画を見ていないのでよく分からないが、リンク先の記事の言っていることは、株価が正規分布をするという前提であればオプション料が割高に設定されているので長期的に見ると買い続けても儲からない、ということである。
ATMのオプション価格が550円だとするとそれを買い続けても1勝1敗では儲からない。言わば当たり前である。これを言い始めると、オプションではなく個別株であっても毎日買っては売り買っては売りを繰り返してもどうなんだ?という話になり、個別株だと儲かるぜ、と言いたいのだろうか?
そもそも、ほとんどの人が機械的に売買をするわけではなく、何らかの基準(テクニカルにせよファンダにせよ)でトレードしているはずである。要はそれがうまくいくかいかないかの話であって、うまくいけば儲かるのでは?ということであり、バイナリーオプションは儲からないという意味が、そのような本来うまくいって然るべきトレードであっても(そういうものがあると仮定して)バイナリーオプションは儲からないという意味なのか?
多分バイナリーオプションは儲からないという趣旨はその構造上儲からないというよりも3時間程度の期間で上下を当てることはできないからという意味のように感じる。そうであればそれは何もバイナリーオプションに限った話ではなくなる。

バイナリーオプションは必ずしも儲からないとは言えないのではないか問題

株価が正規分布をしているとすると、±3σ相当を超えるような価格になることはほぼほぼない、と言える。
そうすると、当該権利行使価格のオプションを購入するのはまさにムダ金となるが、売れば儲かることになる。バイナリーオプションはショートすることはできず我々は買うことしかできないが、事実上ショートできる。
例えば+3σ付近の下落オプションを買うことができるが、既にインしている状態なのでほぼ900円前後の値段がついている。残り時間が少なくなればすぐに1000円となってしまう。そのまま満期を迎えても儲けは100円に満たないこともザラであるが、その反面権利行使価格を突き抜けて上昇すれば損失は900円前後となるため旨味が少ないように思いがちである。
しかし、ほぼほぼ突き抜けることはない。突き抜ける確率は正規分布では1%もないが、仮に10回に1回突き抜けると仮定すると9回×100円-900円で収支トントンである。

つまり、ファーアウトのオプションにインすることを賭けるよりも、インしないことに賭けるほうが儲かるということである。なぜなら、損失になったとしても1回あたり900円程度におさまり、かつ権利行使価格より1円でもそのレンジ内にあれば100円程度は利益が保証されているからである。
この点、通常のオプションをショートする場合は損失がもっと大きくなる場合もあるし、レンジ内であってもショートしたオプション価格よりも利益が少なくなることもある。勿論はケースバイケースなので必ずどちらが優位になるとは言えないが。

もっとも、これは証券会社が提示している権利行使価格の幅=ボラティリティ予想が適正であることを前提にして言っているだけであり、それが間違っていればレンジ内に収まらない確率が想定よりも高くなり損失を被ることになる。
とは言え、そうすると逆に当該オプションを買っていれば儲かることになり長期的にみれば証券会社が損失を被るという事になる。

ボラティリティーレンジ幅をどう判断するか

ペイアウトが1000円と固定されているのは見方によっては買い方に有利となりうる。それは前述の如くレンジ内にとどまったときもそうだが、一円でもインすれば1000円貰えるからである。
通常のオプション価格はブラックショールズ式によってIVをどう考えるかで大きく変わってくる。バイナリーオプションではこれがレンジ幅(σ)をいくらにするかであり、ペイアウト1000円からオプション価格を算出しているようだ。
しかし、ATM付近だと確率50%なので500円+アルファとなるが、ファーアウトだと正規分布ではまったく価格がつかないようなものにも100円の販売価格がついている。通常のブラックショールズ式のオプション価格であれば数円しかつかないようなものであってもである。従ってこのようなオプションを買い続けるのは分が悪い。
つまりショートできるのならショートしたほうが儲かる確率は高いのだが、バイナリーオプションは我々客はショートできない。しかし、前述の如くその代用と言える手段がある。
そして、レンジ幅が大きい時(ボラが大きい時)であってもオプション価格が高くなるわけではない。受付開始時点のATMから3本ほど離れた権利行使価格のオプションは900円前後である。ボラが大きいからこそ本来であれば高いオプションが売れることになり取り分も大きくなるが、バイナリーオプションは変わらないと言える。なぜならペイアウトが1000円と固定されているからテールリスクを考慮する必要がないからである。
実際にGMOの日経225のバイナリーオプションはレンジ幅を受け付け時間ごとに変えている。従って、単純にATMから3本離れていたとしても値幅ベースでは大して離れていない場合もあり、そのようなときに安易に900円のオプションを購入するのはリスクが高いと言えるだろう。
また、バイナリーオプションは両建てが禁止されるが禁止されているのは同じ権利行使価格の両建てなので、違っていれば両建ても可能である。

最終結論

以上のように、バイナリーオプションは絶対儲からないとは必ずしも言い切れないと思う。
仮に儲からないとすれば、それは株の売買ではほとんどの人が損するとか、FXでは90%の人が退場するという事と同義であって、バイナリーオプション特有の理由で言っているのではないと思われる。バイナリーオプション特有のルール設定はやり方によっては客側に有利にもなりうる点があるからというのがその理由である。
その有利な点も当然一定の条件などを必要とするが、その点は広い意味でバイナリーオプションに限った話でもない。

バイナリーオプションから考えるデルタヘッジ

話はそれるが気づきがあったので備忘録として追加しておこう。
デルタヘッジについては既に記事にしているが、デルタヘッジの本質は要するに価格変動リスクをゼロにすることであろう。
ということは価格がいくら動こうが損益ゼロになる、わけではない。あくまである地点とある地点間の価格変動に伴う損益がゼロという意味である。
これはオプション価格とはそもそも何なのか?という点に立ち戻って考える必要がある。
例えば、原資産がまったく動かなかったとすると(ありえなさそうだが上がってから下がる下がってから上がるなどして元の価格に戻る事はありうる)そうするとほぼほぼすべてのオプションは無価値となる。
しかし、時間を戻して過去に舞い戻るとオプションの価格がついている。果たしてこの価格の本質は一体なんなのか?という話である。
これを一般的には時間価値などと説明することが多いようであるが、では時間価値とは何ぞやという話になる。
結論から言えば、このオプション価格は想定リターンを正規分布の各割合を乗じたものと言える。
例えば想定リターンが1000円ならATMのコールは上昇確率50%なので500円の価値がある、といった具合である。
想定リターンが多ければ多いほど同じ権利行使価格であれば価格は上がる。いわゆるボラ=IVを高くしてオプション価格にそれを反映させているとみることができる。
勿論、想定リターンが必ず当たるわけでもないが、ここにデルタヘッジの考え方を加味して考える。
デルタヘッジをすると、価格変動リスクがなくなるとすれば、当該オプションが上がろうが下がろうが儲けもなければ損失もない。
しかし、前述の如く設定当初のオプション価格というものはある。この時、仮にコールを売ってデルタヘッジをしていたとすると原資産の価格が上昇してインして終わった場合当該権利行使価格との差額がオプションショートの損失となる。反面デルタヘッジで先物買いをしていた部分は利益となる。
ATMのコールをショートして、デルタヘッジで先物を0.5枚ロング
100円インして満期を迎えれば、コールショートの損失は100円、先物ロングは+50円である。が、ここにショートしたコールの価格が利益として上乗せされる。
1000円インしようが500円インしようがこの部分が利益として上乗せされることに変わりはない。
実際は上昇していけばいくほどデルタヘッジで先物を追加買いしていくことになる。
いずれにしろオプション価格というのは言わば期待値の価格とみていいだろう。
そして、デルタヘッジで完全にヘッジをした場合残るのはこの期待値のみということになり、インしなければこの期待値はゼロに確定する。インした場合は当該オプションをショートしていれば損失が増える可能性があるが、それをヘッジングするのがデルタヘッジであろう。
従って、オプションをロングしている場合にデルタヘッジをする、というのは本末転倒なのだが、オプション買いでのデルタヘッジで利益を上げようとする戦略は言わば価格変動をするということ(レンジ内で動く)を前提としている、と言える。




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