株の期待値は意味があるのか?

      2024/02/04

とある有名投資家の人たちが言っていたらしい。
「期待値を意識する」
期待値というのは確率が分かってこその話だろう。株において上がるとか、或いはいくら上がるなんかそんなものが最初から分かるなら誰でも儲かるじゃないか(笑)
いや、実際に何億何十億と儲かっている人が言うのだからそこに我々一般庶民では計り知れない秘密、なんらかの期待値を得る秘宝があるのかもしれない・・・
ということで、そもそも論として期待値とはなんなのかから正月早々調べ直していたのだが・・・

結論から言えばやはり株においての期待値は考えるだけ無駄だろう(笑)
こんな記事があったが確率と期待値「賢くお金を増やす」のは、どっち?

株式投資の場合、期待値が1(投資額)を超える銘柄を選んで投資していけば、長い目で見てお金を増やすことができるのです。

もちろん、期待値を計算するための確率自体があくまでも推測した数字です。当然、人によって違ってきます。1万円の株価が1万5000円まで値上がりする確率を30%と考える人もいれば、50%と考える人もいるのです。

過去の株価の推移を判断基準にする人がいる一方で、業績や財務内容を総合的にチェックしたうえで、だいたいこのくらいではないかという数字を出す人もいるでしょう。

アプローチが異なれば、期待値も違うものになります。つまり株式投資の期待値には正解がないのです

そしてこう締めくくられている

それなら期待値は使えないかと言えば、そんなことはありません。成功も失敗も含めて経験値を積めば、より精度が高まります。なぜそのように考えたのかを数字で説明する習慣を身につけることで、賢い投資家の道を進むことができます。そして、着実にお金が増えていくでしょう

(笑)
経験積めば誰でも儲かる、わけがない(笑)(笑)

そもそもこの記事の期待値の説明に疑問が

期待値を計算する前に、直感で、このような案件に投資しますか。つまり、投資したお金が10倍になる可能性が10%ある反面、投資したお金が3分の1弱にまで目減りする可能性が90%もある投資案件に手を出すかどうかを考えてみてください。

多くの人は手を出さないでしょう。確かに10倍になる魅力はあります。でも、その可能性は1割しかないのですから。しかも、3分の1弱に目減りする可能性が9割もあるので、恐らくそうなるだろうと思うのが普通ではないでしょうか。そして、そんな可能性の低いものに賭けること自体が、まさにギャンブルだと思うに違いありません。

でも、感覚的な判断を下す前に、期待値という数字を求めることを習慣にしましょう。

この期待値は、1000円(高値)×0.1(高値の確率)+30円(安値)×0.9(安値の確率)=127円です。つまり、現在の株価よりも高いのです。

10倍になる可能性10%として
5倍になったり3倍になる可能性、あるいは10%上昇する可能性はまったくないのか?おそらくまったくないとして計算されているようである。
多分100円を投資してということだと思うが、そうすると毎回100円を投資して3分の1になる可能性が90%という意味は要するに10回投資して9回3分の1になり、残りの1回で10倍になる、ということのようだ。
すると、9回×66円の損失なのでトータル594円の損失。1回だけ1000円になって戻ってくるので利益は900円でトータル306円の利益となる。
これを10回で割ると期待値130.6円。
損失額を70円とするとトータル630円の損失で・・・計算あうな(笑) さーせん

株のトレードにおいて期待値を使う場合にリターンがどれくらいで、損失がどれくらいで、それがどれくらいの確率なのかということをできるだけ高い精度にすることによって利確や損切りの目安とできる、ということなのかもしれない。

期待値は平均?

正規分布のように見えて正規分布ではない分布にコーシー分布というものがある。コーシー分布に期待値はないらしい。

コーシー分布とその期待値
大数の法則は期待値の存在を仮定しています。そのためコーシー分布に対しては大数の法則は成立しません。

標本平均はサンプルサイズを増やすと
0
0 に近づきそうですが,外れ値を取る確率が高いためにそううまくはいかないのです。

同じく,中心極限定理も成立しません。

このように 「期待値の存在」や「大数の法則」など当たり前に成り立ちそうなことも成り立つとは限らないことの具体例として,コーシー分布は話題に挙がることが多いです。

期待値とは平均とある。
そうすると株価における期待値とは平均値ということになるだろうか。

中心極限定理とは

中心極限定理って結局何なのさ
ここで、中心極限定理のよくある誤った解釈として、"捕まえるウサギの数を増やすほど、その体重の分布は正規分布に従う"という勘違いです。そもそも中心極限定理とは、母集団がどんな分布であっても、そこから抽出したサンプルの平均値は、真の平均値を中心とした正規分布となるというものです。ここで重要なのは、サンプルの平均値が正規分布となるのであって、サンプルが正規分布になる訳ではありません。

株価が正規分布でないと言われる所以

日経平均の日々の騰落率をとってみると分かるが、その分布図は正規分布のように見える。だからこそブラックショールズ計算式においても株価は正規分布しているとして扱っているのだろう。現実にほぼほぼそれで不都合はなさそうである。
とは言え、正規分布ではないと結論付けられているのは逆になぜなのか?数学的素養がある人にとっては愚問だろうが私のような学のない人間はそこらへんがちんぷんかんぷんである。
そこで上記中心極限定理の話ではたと気付いた。
正規分布している集団からどのようなサンプルを取り出そうが、サンプルの平均値は結局正規分布となる、ということである。逆に言えば正規分布していないものからサンプルを取ってもその平均値は真の平均値を中心とした正規分布になるわけがない。
日経平均株価の日々の騰落率はほぼほぼ正規分布に似た形になるものの、各年によってその分布はかなり違う事が分かる。
別の見方からすると、ではなぜ正規分布のような分布になるのか?とも言える。ずーーーっと上がり続ける、或いは下がり続けるようなことがあってもいいはずであるがそうはならない。
ファイナンスの基礎となる数学
不確実性
連続
ブラウン運動→ランダムウォーク ※確率2分の1
https://event.phys.s.u-tokyo.ac.jp/physlab2022/poster/bp-poster03.pdf
ざっくりと、株価の動きは正規分布であるとされるのはこのランダムウォーク仮説も一役買っているのだろう。
株価が上がるか下がるかは確率2分の1が前提であり、そうでなければ正規分布もあり得なければランダムウォークでもない。
つまり、株価がランダムに動くからではなく、上がるか下がるかは2分の1であり、その確率分布が正規分布であるものをランダムウォークと言っているようである。
そして、この統計的結果は長期的にはそのような傾向を示すが、短期的にはそうとは言えないこともデータが示している。これはある意味当たり前の話かもしれない。正規分布も大数の法則が前提であるから試行回数が多ければ多いほど正規分布に近くなるだろう。
そうすると、より短期目線で言えばランダムウォークではないという非ランダムウォーク仮説も成り立つだろう。実際に一定の期間ごとに区切って、ある特定の期間を取り出すとその期間の株価の動きがランダムウォークとは程遠いなどということも多い。しかし、このことはそういう言わば外れ値のようなものが発生する確率も正規分布の発生確率と同じであれば長期的に見ればランダムウォークの範囲内と言える。
従って、比較をするならその一定の期間ごとの日々の騰落を集めるのではなく、一定期間ごと自体の騰落のデータをとらなければならない。
通常は日々の騰落率を10年分のデータして集計するなどするが、この時、1か月ごとの騰落を10年分などとして集計してその分布を比較する。
例えば1か月ごとの騰落分布は確かに中心部分が盛り上がる傾向にあり、正規分布のような形に見えなくもないが、数学的な意味での正規分布ではない。
とは言え、やはり期間が長いほどその分布は正規分布に近くなるのが興味深い。
いずれにしろ、ランダムウォークをしているから正規分布に近くなっているのではなく、結果的にそれに近くなっているのではないか?
なぜ、そうなるかと言えばそれは平均、分散と言った正規分布や標準偏差から説明できるだろう。
データが多くなればなるほどいわゆる外れ値的なものをより多くでてくるものの、短期間に出る場合よりもその比率が少なくなるのは容易に想像できる。
また、標準偏差=ボラティリティそのもの変動も長期的よりも短期的にみたほうが大きく変動しやすい。
株価が予測できない理由としてはランダムウォーク仮説に言わせれば、株価がブラウン運動をしていることを前提にし、かつ正規分布するからということになる。
しかし、株価が予測できないのはなにもランダムウォークしているからと言い切る必要もない。
ある特定の期間を切り出してみると、ランダムウォークせずに明らかにトレンドを描いていることもある。ランダムウォーク仮説によればこの動きもランダムウォークの範囲内である。このトレンドの動きを数学的に予測するのはやはり不可能に近いだろうと推測される(少なくとも我々凡人には無理だろう)。数学的に予測するのが無理だという意味でランダムウォークだからというならその通りかもしれないが。
仮に正規分布では確率的に少ない事象の株価上昇があったとして、翌日さらにそれ以上の株価上昇があるかもしれない。ランダムウォークだからこそそうでも有りうるのかもしれない。

ランダムウォークでいつかは原点x=0に戻って来る確率

ランダムウォークでいつかは原点x=0に戻って来る確率
・1次元のランダムウォークで、いつかは原点x=0に戻って来る確率は100%

・2次元のランダムウォークで、いつかは原点x=0に戻って来る確率は100%

・3次元のランダムウォークで、いつかは原点x=0に戻って来る確率は34%

株価がランダムウォークしているならば株価はいつかは元に戻ってくるだろうが、そうはならない。
そもそも、いつというのはいつの時点を言うのだろうか?いや、まずいつを起点にしていつが終着点なのか?
そのように考えると、ある一定期間を区切る必要があり、その一定期間ごとの株価の動きをみると元にもどっていることもあるかもしれない。しかし、それが100%とはならないだろう。
ボラティリティは株価そのものではなく、騰落率から算出されるので価格差だけで判断しても元の価格、つまりプラスとマイナスの価格差の累積がトータルゼロ近辺に収束するのがランダムウォーク理論の帰結となりそうだが現実の株価はそうはならない、はずである。
「いつかは戻る」という意味が一度でも戻る確率というならば確かにそうかもしれないが、そうすると株価に限って言えばほとんど意味のないことを言っているに過ぎない。
結局のところ、ランダムウォークしているからとか予測できないということではないと思われる。勿論ランダムウォークしていないから予測できる、などと言うつもりもない。
株価と言うものは言わば人為的な影響を受けて形成されるものなので、そこに自然的な現象から得られた物理の法則や数学的な考え方を基底とする理論で考えようとすることが土台無理なのかもしれない。
言い換えれば数学的な意味で株価を予測しようとすることが無理なだけであり他の方法ならば可能なのかもしれない。勿論私にはそんなことは分からないが。
それほど数は多くはないかもしれないが、世の中には何十億と儲けている投資家も存在する。何億、何千万レベルならもっといるだろう。もっとも、その何十倍も損している人間もいるだろうが。
そのように考えると、投資で利益を上げるには結局のところ数学的な確率論ではない、別の方法で価格の上下を見極める必要があるということになってくる。
とは言え、それができれば誰も苦労はしないが、それができている人も少なからず存在しているのが現実である。

株価はランダムウォークはしていないがそれに近い動きをする

株価はランダムウォークをしていないがそれに近い動きをしている
株価は正規分布をしていないがそれに近い分布を描く

そこでブラックショールズ計算式などが生まれてくるのだろう。そこで重要になってくるのは対象の期間である。1次元ランダムウォークでは元に戻ってくる確率は100%だが、この確率はどの期間、あるいはどれくらいの期間を対象にして言っているのかという話であり、対象期間が長ければ長いほどこの理論の精度は高まるということになる。
逆に言えば期間が短ければ戻ってこない確率が高くなる、ということである。
ボラティリティが1%で、1年後の価格と1日後の価格の変動幅は明らかに違うが上下の確率は同じ50%である。また、元に戻る=価格が同じになる確率も変わらない。
しかし、仮にすぐに価格が2%と+2σ分大きく上昇した場合、ランダムウォーク理論や正規分布などから言えば次に価格が上がるか下がるかは50%であり、またその変動幅もボラティリティが1%であれば2%下がる確率は約15%と低い確率である。仮に下落したとして1%下落しても通常の正規分布の範囲内であるがここで終了となれば当然価格は元にもどっていない。期間を延長すれば元に戻る確率は上がる。
要するに期間が長ければ長くなるほど正規分布に近くはなるものの、ある一定期間を切り出してみるとまったく違った様相が展開されるというわけである。
本当に株価が正規分布あるいは中心極限定理であるならばある一定期間を取り出しても正規分布、あるいはそれに近いものしか抽出されないはずであるがそうはならない。
従って、株価を長期間でみたときに正規分布していると仮定して取引するのはあり得ても、短期間でみた場合に正規分布していると仮定して取引をするとうまくいかないだろうことが予想される。もっとも短期間毎を長期間続けていけばある程度正規分布に近い結果がでるかもしれないが、それは恐らく結果論であって、1次元ランダムウォークと同様、たままた対象期間がそうなっただけであり、次の期間もそうなるとは限らない。

株価は上がるか下がるか半々なのか

こうやってみてくると、株価が上がるか下がるかの確率が50%であるというのも何だか怪しくなってくる。
例えばコインを投げて裏が出る確率は2分の1だろう。(厳密にはコインの形、或いは投げる角度や条件なども同じにした場合となるが)
株価が上がるか下がるかは確率半々と言っているのはいわばこのようなコインと同じようなことを想定して言っているに過ぎないのである。
当たり前の話だが、株価というものに影響を与える事象はたくさんあり、それは刻一刻と変わっていく。いや何も変わらない場合も多いだろう。
この時、上がるか下がるかは半々である、と言い切れるのか?ということである。
株価は正規分布に近い、などと言っているのも実際は騰落率の分布を見て言っているにすぎず、また、長期間でみれば正規分布に近くなっているだけである。
そもそも論として、コインを投げる場合にしても10回連続表が出る場合だってありうる。確率が少ないとしても絶対起きないわけではない。

上がる値幅と下がる値幅が必ず同一ではない

これが株価なら猶更のことである。仮に確率が半々だとしても上がる場合の値幅が下がる場合の値幅よりも大きければ結果として株価は上がっていくという事になる。
別の見方から言えば、株価が上がるか下がるかは2分の1である。今日まで5日連続で上昇したので今後は下がる確率が高いと言って先物をショートする。
しかし、翌日上がるか下がるかは確率2分の1である。翌日また株価が上昇したとしてもそれは長い目でみた正規分布の範囲内かもしれない。そしてその翌日株価は下がったものの昨日の上げ幅の半分かもしれない。そしてまた翌日上がり、その翌日下がったがそれも昨日の上げ幅には届かない。そしてまた翌日上昇し、その翌日から3連続で下がったもののショートした時と同じ価格に戻っただけ。上下の確率はどんどん50%に近くなっているのは間違いないが、だからと言って上下の価格差も同じというわけではない。この点ランダムウォーク理論では±は同じとして設定してあるが、この点から言ってもランダムウォーク理論を株価にそのまま応用するのは危険である。

確率を目安にしてトレードしてもそうそううまくいかない理由はこのあたりにあり、逆説的ではあるものの予想が当たらないにせよある程度の株の動きというものを想定しなければ結局は儲からないと言える。
また、株を買って儲けるということは結局安く買って高く売るのであるから下がることを想定してショートするのではなく、上がる事を想定して買ったほうが理に適っているということになる。また、これも一見矛盾するが、株価が正規分布に近いとするなら、その正規分布から逸脱したものはいずれ修正されうる、あるいは徐々に修正され正規分布に近い形に収束していくということでもある。
あくまで統計上のデータによる話なので統計上のデータを目安にして取引することが重要で、数学的な確率とか正規分布などを参考にして取引してもうまくいかないだろう。
例えばボリンジャーバンドの逆張り順張り議論を見ても分かる。±2σを超えるような位置は確率的に少ないので買われすぎ売られすぎとして逆張りするのは間違いだと言われる。これは当然株価が正規分布をしていることに前提にしている議論であるが、そもそも正規分布していないのであるからこの議論自体あまり意味があるものではない。
しかし、統計データとして仮に中心位置から2σ離れている場合にそれ以上価格が離れていく確率が●●%とかだったらそれは参考にできるだろう。

結局、投資で利益をあげるには上がるか下がるかをある程度当てることができなければならない。そしてそれが出来れば誰も苦労はしない(笑)
しかし、価格をピンポイントで当てる必要もないし、価格は仮に元に戻る事はあっても動くのは間違いない。
そして、価格と言うものはランダムウォークしているようで局面局面ではランダムウォークしていない場合も多い。
それは株価というものが自律的に動いているものではなく、様々なものの影響で動いているからである。それはテクニカルなものもあるだろうしファンダメンタルズや地政学的なものあるだろう。
従って、株価を予測するとはそういったものが株価の上昇要因なのか下落要因なのかを見極めることになろう。
価格が上がり過ぎているとか下がり過ぎているなどの判断も数学的な確率的な観点からではなく、統計上のデータなども含めた総合的な判断でなされなければならない。




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