レバレッジから考えるプットオプション

   

日経平均株価が3万円を超えたらしい。なぜだ?
さて、こんな世の中で一発逆転を考える手段としてオプション取引を考えてみたい。
コロナショックのような世界的危機ではなくても日経平均が暴落してプットオプションが爆上げすることはよくある話である。
 

別にこんなことはプットに限った話でもなく、つい最近コールが爆上げしたことも記憶に新しい。
暴落などしなくてもオプションはすぐに数倍の価格がついてしまう。
それはレバレッジが効いているからに他ならない。

 

そもそもオプション1枚の売買は日経平均1枚を売買しているに等しい。
日経平均が3万円だとすると3000万円の取引をしていることになる。
仮にプットオプションを1枚10円で買うとすると総額1万円で買えてしまう。つまり、なんと3000倍のレバがかかっているとも言える。
勿論これは数字のマジックである。通常は保証金や証拠金に対してどれだけ当該資産を買ったり売ったりできるのかで表される。
仮に3000倍のレバがかかっているとしても損失は1万円以上は発生せず、また、仮に日経平均が5%下落してもこのプットオプションは満期になれば紙屑だろう。なぜなら現在10円のプットオプションは権利行使価格24500円程度以下なのでSQ時に仮に日経平均が25000円まで暴落していてもこのプットは消滅してしまうからである。
とは言え、権利行使価格28500円のプットは現在100円前後で売買されている。プットオプションも勿論売ることができる。
この場合、必要な証拠金は現在50万円強である。従って日経平均3000万円に対してレバレッジは約60倍もかかっている計算になる。
下手なFXの比ではない。

 

しかし、ちょっと待ちんしゃい。
仮にその28500円のプットを100円で売った翌日に中国が尖閣を占領したとか言い出した日には日経平均が暴落。プットは数倍に暴騰することは必至。
このとき、証拠金も爆上げ。もし、証拠金カツカツ状態だったら追証必至。追証が入れられなければ強制決済で大損。
また、仮に一気に暴落せずに何らかの理由で徐々に下げていき、日経平均が27000円まで下落したらプットの価格は1500円を超える計算になる。

 

プットの価格が1500円と言えば150万円である(1枚1000単位)。つまりわずか10万円儲ける為にその10倍以上の損失を被ってしまう。

 

プットオプションを「売る」ということは、その原資産をその権利行使価格で買わされるということが分かっていれば安易に売ったりしないものだ。
先ほどの例で仮に28500円で買わされるとしたら(日経平均が27000円でも権利行使価格が28500円なので)必要資金は2850万円になる。
プットというのは売る権利のことであり、プットを買うというのは売る権利を買うことである。売る権利を買うということは売りつける権利を持ったということになる。
逆にプットを売るということは結局買わされる可能性があるということになる。
日経平均のオプションは差金決済でこのような現物のやり取りは発生しないため、この仕組みをあまり理解していない人が多い。
アメリカでは個別株のオプションもさかんだが、個別株のオプション取引は現物の受け渡しを念頭に置いておく必要がある。そうすると、最終的に現物を持っているか、あるいは買えるだけの資金がなければ迂闊にプットを売らない(売れない)。

 

実際、日経225のオプションでは何十倍ものレバレッジがかけられているから、自分の資金力以上の取引ができてしまう。ということは取引に失敗すればそれだけの借金を背負ってしまう可能性もあるということだが、差金決済でレバレッジがきかせられると人間そういった危険性を忘れてしまうのかもしれない。

 

下手な宝くじを買うくらいならオプションを買い続けたほうがまだマシである。

 

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