中牟田博章氏は冤罪を2度作り出してしまったのか?

      2022/02/19

大崎事件で再審開始が決定されました。「大崎事件」のことは全く知りませんでしたが、事件の概要を聞くとこんな捜査で人が刑務所にいれられてしまうのかと感じましたが、少し詳しく調べると確かに事故ではなく事件ではないかと思わせる不自然な点もあります。
ただ、いつも思うのは警察や検察の誤りを見抜けなかった裁判所の責任です。

日本では起訴されると有罪の確率は99%以上らしいですね。起訴されたら負けなわけです。
これは検察が有罪にする自信がないものは起訴しないからだともいわれますが、裁判所が警察、検察は嘘つかない、間違いがない、という事を前提に裁判するからともいえるでしょう。
そもそも法律がそのように作られているから仕方ない、と思考停止しているのが官僚的思考とも言うべきものかもしれません。
裁判官も司法行政の一翼を担っているわけですし、出世するためには最高裁から睨まられてはいけないわけです。国の意向に反するようなことは極力避けたい。無罪判決なんか書きたくないのです。上の顔色ばかり窺っている、このような裁判官をヒラメ裁判官と言うらしいです。高裁や最高裁の判事になるためには国の意向に反するような判決を出すなどもってのほかなのであります。世の中を公平に見ず、お上のほうばっかり向いていると目がへんてこになってしまいました。

さて、大崎事件の審理を担当した裁判官は中牟田博章という人らしく、この方ググると「氷見事件」も担当しているのが真っ先に出てきます。
また、冤罪ではありませんがこんな記事もありました→鹿児島強姦逆転無罪
記事をそのまま引用しますと
「一審判決が女性のショートパンツについた別人の精子の存在を無視したのは、公判前整理手続の段階で、これを証拠採用しないことが決まっていたからだ。だが、この証拠は女性がほかの男性と性的関係を持った可能性を強く示すものであり、体内の精子もその男性のものである可能性がある。これについて弁護人は証拠採用を求めたが、当時の裁判所(中牟田博章裁判長、裁判の途中で福岡地家裁小倉支部に転任)は認めなかった。」

リンク先が消失事例が頻発しているので記事を引用して載せておきます。

鹿児島市の繁華街で深夜、17歳の女性を強姦したとして、一審では懲役4年の実刑とされた男性Xさん(23)に1月12日、福岡高裁宮崎支部(岡田信裁判長)が逆転無罪の判決を下した。
 高裁が新たに行ったDNA型鑑定で、女性の体内から検出された精子はAさんとは別人のものと判明したのが決め手となったが、それ以前にも、強姦事件があったと見るには不自然な状況証拠がいくつもあった。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に照らせば、本来は一審で無罪となっているべき事件だったのではないか。

無罪方向の証拠に目を向けない裁判所
 事件があったのは、2012年10月7日午前2時過ぎ。場所は「天文館」と呼ばれる、鹿児島随一の繁華街・歓楽街の大きな通りから入った路地である。女性の訴えで8日後に逮捕されたXさんは、「当夜は大量の酒を飲んでおり、酔っていて記憶がない」と一貫して説明したが、検察は証拠があるとして起訴した。

 一審は2人の弁護人がつき、公判前整理手続を経て、鹿児島地裁での審理が行われた。そこで、検察側証人となった鹿児島県警科捜研のA技官が、女性の体内から精子が検出されたが微量だったのでDNA型は特定できなかったとしたものの、女性の胸の付着物のDNA型はAさんと一致したと証言。女性も、Aさんから道路に押し倒されて頭を打ち、四つん這いの状態から仰向けにひっくり返され、馬乗りになられて首を絞められるなどした挙げ句に強姦されたという、激しい被害の状況を語った。

 一方、被告・弁護側は無罪を主張。女性の証言の不自然さを複数指摘し、信用性がないと主張した。たとえば、現場の前を通りかかったバイクを運転していた男性は、「男女が立ってイチャついていた」と証言しており、バイクが通り過ぎる灯りが監視カメラ映像に映っている。ところが、その45秒後には、女性が歩いている姿が、通りの別の監視カメラ映像に映っている。

 警察や検察での女性の調書では、このバイクが通り過ぎた後に暴行され、犯人と短い会話を交わしたことになっているが、わずか45秒では女性が証言したような行為はできない。また、女性はショートパンツ姿でアスファルト舗装の道路に押し倒されて激しい暴行を受けたというのに手足などにまったく傷がなく、衣服にもその痕跡がない。そして、女性のショートパンツからは、Xさんと別のDNA型の精子が検出されている。

 これに対し、同地裁(安永武央裁判長、植田類裁判官、竹中輝順裁判官)は、女性の体内から検出された精子が微量だったためにDNA型鑑定ができなかった、という検察側主張を「動かしがたい事実」とし、女性の供述についても「信用できる」と認定した。“45秒問題”は、女性が公判証言でバイクが通り過ぎた時期を「覚えていない」と述べたことをとらえ、調書が正確に書かれていないかもしれないと判断。女性の体や着衣に損傷がないことも、強姦が短かったことから「不自然とまではいえない」と弁護側の主張を退けた。ショートパンツに付着した精子に関しては、判決ではまったく言及もしていない。

 警察官と検察官がそろいもそろって、複数の調書でことの経緯を誤って記載したと判断するなら、それ相応の根拠が必要だろうが、判決はそれも示していない。検察側が有罪の主張を無批判に受け入れ、被害者供述の不自然さを指摘する弁護側の主張や消極証拠を、裁判官は想像を巡らし、さまざまな理由をつけて排斥している。このように有罪方向の証拠のみに注目し、無罪方向の証拠にまったく目を向けようとしないのは、裁判所が冤罪をつくるパターンである。

生かされなかった過去の過ち
 昨年大阪地裁で再審が行われ、10月に無罪となった強姦事件もそうだった。10代だった親族の女性に対する強姦と強制わいせつの罪に問われたYさんは、無実を主張したが懲役12年の実刑となった。Yさんの服役中に、女性が「実は、被害は虚偽だった」と告白。地検の再捜査で、女性が“事件”の後に医療機関を受診した際、医師が「被害を受けたことを示す痕跡がない」という見解を記載した診療記録も見つかった。そのため、検察も無罪主張に転じた。

この事件でも、弁護人は早くから女性の供述の不自然さを指摘し、検察側の主張には疑問があると訴えたが、裁判所には一顧だにされなかった。
 性犯罪では、とりわけ被害者の保護が重要である。捜査での事情聴取や法廷での証言で犯行状況を根掘り葉掘り聞かれる際の精神的苦痛は、「セカンド・レイプ」ともいわれ被害者の負担になっている。それに対する手厚いケアは必要だし、不必要な問いを重ねて被害者を苦しめることがないようにすべきだ。

 だが、刑事事件として扱う以上、被害者証言が信用できるものかどうかは、きちんと調べなければならない。被害者にも見間違いや勘違いはあり得る。それに、なんらかの事情で虚偽の被害を申告するケースが絶対にないわけではないのだ。特に被疑者・被告人が無実を訴えている事件では、被害者証言は客観的証拠などで裏付けがとれるかどうかを、警察、検察、裁判所の各段階で吟味することを怠ってはならない。

 ところが、警察・検察の捜査をチェックすべき裁判所までが、被害者証言を鵜呑みにし、それと矛盾する証拠には目を向けないことが、痴漢事件を含む性犯罪ではしばしばある。

 今回の鹿児島の事件で、一審判決が女性のショートパンツについた別人の精子の存在を無視したのは、公判前整理手続の段階で、これを証拠採用しないことが決まっていたからだ。だが、この証拠は女性がほかの男性と性的関係を持った可能性を強く示すものであり、体内の精子もその男性のものである可能性がある。これについて弁護人は証拠採用を求めたが、当時の裁判所(中牟田博章裁判長、裁判の途中で福岡地家裁小倉支部に転任)は認めなかった。

 控訴審で法医学者が鑑定を行ったところ、女性の体内の試料からは「簡単に」DNA型が判明し、やはりそれはショートパンツに付着した精子と同じ型だった。それくらい被告人にとって有利であり、かつ重要な証拠だったのにもかかわらず、一審ではなぜか証拠採用されなかった。

 この判断をした中牟田裁判長は、前任地の富山地裁高岡支部でも、無実の人に有罪判決を言い渡したことがある。02年に起きた「氷見事件」と呼ばれる強姦・同未遂事件で、起訴された男性Zさんと事件を結びつける客観的証拠はなく、むしろZさんを犯人とするには矛盾する証拠があった。それでも、被害者証言や「自白」調書を基に懲役3年の実刑判決を言い渡した。男性が服役を終えてから真犯人が現れ、冤罪が明らかになった。

この時に、被告人と事件を結びつける客観的な証拠もなしに人を有罪にしてしまうことの怖さを、中牟田裁判長は学ばなかったのだろうか。検察側主張の疑問点や証拠の矛盾があるのに、それを軽んじたり推測でつじつまあわせをして、有罪にしてしまう恐ろしさを認識し、あらためて「疑わしきは被告人の利益に」という大原則の大切さを噛みしめることはなかったのだろうか。

 冤罪が明らかになっても、裁判官個人が責任を追及されることはない。誤判の原因が究明されることもない。裁判官の独立を守ることは大切だが、過去の間違いから学ぶことは、それに劣らず重要ではないか。

 今回の事件は、警察のDNA鑑定のあり方や検察のアンフェアな対応も問題になった。鹿児島県警は、女性の体内の精子について、鑑定中のメモを残さず、重要な場面での写真も撮らないまま、「鑑定不能」の結論を出した。「STAP細胞」騒動の際、研究者の実験ノートが問題になったが、それと同じように、これでは鹿児島県警での鑑定作業が適切に行われたと信頼することはできない。

10年、裁判員裁判の死刑求刑事件において全国で初めて出された無罪判決でも、鹿児島県警による証拠採取の信用性が問題とされ、「後に採証過程の信用性を争われる可能性があることを見越して写真撮影するなど証拠を保全しておくべきであった」「採証活動には丁寧さと慎重さが求められて然るべき」と繰り返し注文を付けられている。
 こうした指摘を受けて、これまでの証拠の採取・作成過程を見直し、改善するということを、同県警はしてこなかったのではないか。

 今回の事件で検察は、控訴審で裁判所の委嘱で法医学者が行ったDNA型鑑定で、女性の体内にあった精子は別人のものだと明らかになるや、密かに鑑定試料を別の大学に持ち込み、再鑑定を行った。その試料を運搬したのは、警察段階で鑑定を行った鹿児島県警のA技官だった。こうした行為に対して福岡高裁宮崎支部は、「必要性も緊急性もないのに、非代替的な試料を無意味に費消した」うえ、公判中心主義の理念にも反すると、検察側を厳しく非難した。

 検察もまた、09年の「郵便不正事件」で大阪地検の主任検事が証拠改ざんを行った不祥事をきっかけに、そのあり方が厳しく問われ、自ら倫理規定「検察の理念」も策定した。そこでは、「あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない」と謳っている。この時の反省と誓いは、もう忘れ去られてしまったのだろうか。

 過去の失敗を繰り返さないためには、客観的な目で事件を検証し、警察、検察、弁護人、裁判所のどこにどのような問題があったのかを分析し、それを各組織が研修の教材にするなどして生かしていく、ということを地道にやるしかないのではないか。そのためにも、冤罪について第三者が検証する制度を設け、原因を分析し、その教訓を捜査機関や弁護士、裁判所が学べるようにすることを、そろそろ本気で考えてもらいたい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2016/01/post_13420_3.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.




 - 国家権力とか ,