オプショントレード理論 備忘録

      2024/02/10

オプショントレードについて文章化してまとめておこう。単なる備忘録であり、この理論を実践して損したからと言って批判するのはお門違いである(笑)
戦略や手法がうまくいって利益があげられたとしても理論が間違っていれば、その手法はいずれ形はどうあれ破綻するだろう。
逆に理論が正しくても戦略や手法が間違っていれば利益があがるわけもない。
理論なんかなくても、あるいは戦略や手法というものが確立していなくても儲かっているならそれは天才である。天才とは他の人間では再現することができない事をやることができる人の事である。

戦略のゲーム

かつて某有名な野球監督は勝利の方程式なる言葉を使っていた。勝利するのに一定のパターンというか、そのやり方なら勝つ確率が高いやり方というものがある、程度の意味だろう。しかし、この考え方は真理をついていると思う。
サッカーにおいてはそもそも点をとる人間が一番前にいるが、これも一種の得点パターンをフォーメーション化しているものと言える。更にチームによってはセットプレーからの得点が多いチームがあったり、カウンターを得意とするチームがあったり、言わばチームや選手によって得点しやすいパターンと言うものがあり、言わば得点の方程式であろう。
とは言え、結局のところそのパターンを多く生み出せなければ勝利には結びつけることができない。仮に得点しまくっても失点が多ければ負けてしまう。
勝利の方程式もチームが得点できなければよくて引き分けだろう。勝利の方程式は主に投手起用で使われていたことからも分かるが、これはあくまで守備側の視点である。仮に、勝利したとしても、その選手が毎試合毎試合投げることはできないのでシーズン通してはまた別の視点が必要となる。
従って、試合に勝つという意味ではその方程式を生かすための戦略が必要となる。
では、方程式など必要なく戦略が結局重要では?という疑問符がつくが、得点をするにしろ、得点を防ぐにしろ、その方程式とやらがそもそもない場合は場当たり的な得点であり、場当たり的に失点を防いでいるだけであり、再現性に乏しい。勿論、それで得点をしまくり、クリーンシートをしまくるチームや選手もいるだろう。しかし、それは一部の天才かたまたま運がよかっただけである。自分がそれができるならそれで構わない話であり、話はそこで終わる。天才に用なしである。
投資の世界でも一部そういう天才のような人がいるが、天才とは頭がいい人の事を言っているのではなく、たまたま結果がついている人の事を言っているだけである。仮にその人の手法とやらを第三者が同じようにやって利益をあげられるなら、逆説的だがそれは天才とは言わない。それこそ勝利の方程式である。
いずれにしろ、投資で言えば利益をあげられるパターンというものを確立しておく必要があり、それがベースにあってそれを生かすための戦略というものが必要になってくる。
ある株が上がりそうだから買う。そして実際に上がった場合、もうだいぶ上がったから売る。そして利益がでた。これを繰り返していたら億万長者になりました。それを聞いて自分でもできそうと思い投資を行う人も多いかもしれないが、そこに利益があげられる根拠などは何もない。果たしてそれで利益がだせるのか?
少なくともいくらで買って、いくらで売るのかとか、いつ売るのかとか、損切りはどうするかなど戦略が必要な事は誰にでも分かる。
現物株式の場合は株が上がらなければ利益がでないため分かりやすいが、オプションになると必ずしもそうはならないためより一層戦略が必要である。
そして、その戦略は一定の理論的ベースがなければ絵に描いた餅である。
理論的ベースとは言っても何も数学的な事を言っているのではなく、勝利の方程式のことである。
単純化して言えばコールを買って利益を上げるには少なくとも原資産の価格が上昇しなければならない。満期時点で言えばコール購入に支払ったが額以上権利行使価格よりも上昇しないと利益にはならないのでそれ以上上がると予想するから買うということになるが、この場合単に予想があたるかどうかという話であって勝利の方程式とは言えない。
オプションで言う勝利の方程式は言わば理論的背景とも言うべきものであって、そのポジションをなぜとるのかという理論的根拠である。既にみたように方程式=理論がいくら正しくても必ずしも想定通りの結果となるわけではない。あくまで一つの考え方である。理論というものはそういうものであり、理論に拘泥し過ぎると足元をすくわれることになりかねない。
理論というものが効果を発揮するのはその理論が想定する状況に合致したときであり、条件が整わなければその理論はほとんど意味がないだろう。
いずれにせよオプション売買においてはオプションの価格付けがどのようになされているのか?オプション価格がどのような挙動をするのか?なぜそうなるのか?ある状況ではこういう動き方をしやすいとか、そういったものを理論的に理解しておく必要がある。
単純に相場の予想をしてそれがある程度当たる場合はこのような理論的な話は必ずしも必要ではないが、知っていればさらに利益を増やすこともやぶさかではなくなるだろう。
要するにオプションで言う勝利の方程式とはこのポジションだとこうなれば利益がでるということであり、その条件に合致しなければ、言い方を変えると違う状況になれば違う結果となる、ということがきちんと理解していることでる。
そのうえであるポジションで利益を出すためには、損失がでるような状況になった場合にどのような対応をして利益に結び付けるかという戦略がなければならないということである。

δについての備忘録

デルタはインする確率と言われるが、そうではなくインした場合の想定リターンである。
オプション価格が100円だとすると、権利行使価格にインした場合の想定リターンは100円である。逆に言えば100円以上インしないと儲けはない。とは言え、IVが満期時点の想定リターンを正確に弾き出しているわけではないから、語弊があるが満期時点のリターンを考えると(原資産価格そのものと言ってもいいが)IVがいくらであろうがほとんど関係ないとも言える。
デルタヘッジは期中において意味があるが、満期においてはほとんど意味がない。期中においてデルタを調整することに意味があり、完全にフルヘッジすればそもそも損益はゼロに収束していく。つまりヘッジをする意味がほとんどない。
デルタヘッジで利益があがるのは言わばデルタがずれていくからである。オプション買いでデルタヘッジをするのは要するに先物で逆張りしているだけで、想定通りに逆に動かなければ利益とはならない。利益がでるのは結局IVが上昇したときということになる。

BS式によるオプション価格

ブラックショールズ計算式では標準偏差を基にするIVが使われている。ボラティリティは標準偏差であり、標準偏差は平均からどれだけバラついているかを見るものである。一般に株価のボラティリティは騰落率から算出されるので、この場合騰落率の平均値からどれだけバラついているかを見るのが一般的なボラティリティと言える。
ボラティリティを変動率と考えるのは誤りであることになる。ある期間の株価の変動率を想定する場合にボラティリティが使われるが、この場合ボラティリティをその期間のルート倍して算出する。
しかし、ボラティリティが騰落率の平均値からのバラつきを見るものであれば何故それをルート倍すれば変動率が想定できるのか?正規分布するからと言われてしまえばそれまでだが、いずれにしろある期間の株価の変動率を想定することはできたとしてもそれは一定の幅を想定しているだけの話である。
要はその想定幅が期間が長くなればなるほど広がっていくというだけの話であって、+にいくか-に行くかの確率は半々で変わらない。言い換えればボラティリティ≒IVが分かったとしてもピンポイントで株価が分かるわけではない。また、満期まで保有するつもりがないならば満期での株価、及び損益状況はなんの意味もないことになる。

ボラティリティは結果論である

ボラティリティは遅効性の指標であるから、ポジション構築時のボラティリティでは+-3σを超えるような確率の低い事象でも終わってみればボラティリティが上昇しその事象が+-2σの範疇に収まっていることもありうる。
それは誰にも分らない。ボラティリティトレードなどと言われるが、要は価格当てゲームと同じでボラティリティの上下をあてるようなものである。それが分かればよいがそれが分かれば誰も苦労はしない。
もっとも株価などの価格当てゲームとは違い、ボラティリティには明らかな回帰性がある。これは統計上の話ではなく、ボラティリティの計算上、上昇したボラティリティはいずれ下落することが必然だからである。従って、上昇したボラティリティ≒IVをショートして利益を上げようとすること自体は理にかなっていると言える。問題はいつ下がるのかであり、もっと上昇することだってありうるわけである。

ボラティリティでリスクは計れない

ボラティリティはあくまで平均からどれだけバラツキがあるのかを見るものである。
従って、上昇と下落を別々に算出するよりまとめて算出するほうがボラティリティは高くなる。しかし、平均からどれだけバラついているかという指標は相対的に判断する場合はより有効かもしれないが、当該原資産を購入した場合にどれくらいの損失を被るかとしての指標に必ずしも有効ではない。
確かにボラティリティが高いと必然的にドローダウンが大きくなるのは間違いないが、それはプラスマイナスの平均値からみれば大きくなるということであり、仮に平均値そのものが高いならプラスのリターンも大きい。プラス側の平均値がマイナス側に比べて圧倒的に大きくてもボラティリティは高くでる場合がある。
どれだけ利益を得るか、リターンという観点からはプラス側とマイナス側で別個にボラティリティや平均値を出すほうがより効果的であると言える。
そもそも論として言えば、オプションをショートせずロングだけの場合であればどれだけボラティリティが高く、原資産のドローダウンが一気にきたとしても損失は限定されているので、テールリスクという観点からはそれを想定しなくてもよい。むしろボラティリティが高い方が好都合とさえ言える。

オプション価格が適正価格ならば

適正な価格というものがどういうものなのかはさておき、仮に適正価格だとするならばそのオプションを買い続けようが売り続けようが長期的にみれば損益はゼロに収束していく。仮に利益が累積したり損失が累積したりすればそのオプション価格は適正価格ではなかったということになる。
オプションをトレードする場合は組み合わせてポジションを構築することが多いが、スプレッドも適正ならば結局儲けもなければ損失もない。
結局オプションで利益をあげるには
適正価格ではないオプションを売買する
デルタの方向性(原資産の価格の上下)をあてる
ボラティリティ=IVの上下をあてる
ということに集約される。相場が動かないと予測することは要するに原資産の価格の上下をあてると同義である。適正価格ではないオプションを発見してもそれが高いのか安いのか分からなければ適切な売買はできないので、その意味ではIVの上下を当てることができなければならないと言える。
また株価の方向性があてられるならわざわざオプション取引に拘る必要はないとも言える。

騰落率と対数

騰落率からボラティリティを算出するのに、満期における原資産の株価というものは騰落率の単純合計ではない。
一定の期間ごとの騰落率の単純合計とその期間の期初の株価と期末の株価の騰落率は違ってくることがほとんどである。
騰落率を基準にしてトレードを行うと原資産の株価とのズレが生じ、それが+になる場合もあれば-になる場合もあるから厄介である。
オプションの権利行使間は率ではなく額であり、言わば値幅が固定されている。当該原資産の価格が上昇したからと言って権利行使間の値幅が広がるなどということはない。
逆に権利行使が自動でズレたりすればトレードはやれないだろうが。
固定されているがために権利行使に近くなればよりインする確率が高くなり、遠ざかればインする確率はどんどん少なくなっていく。
同じ1%の騰落でも与える影響は大きく違ってくる。
いずれにせよオプション買いであれば近づいた方がよく、オプション売りであれば離れた方がいいのは間違いない。

ランダムに動く株価

どれだけボラティリティが高くても期初と期末の株価があまり変わらない場合も多々ある。逆に期初と期末の株価が同じ場合であっても期中に株価がまったく動かないことは通常ありえないだろう。変動率が少ないにせよ株価は必ず動いているはずである。
そうすると、期末の株価をピンポイントで当てるよりもその変動を収益に変える方がより容易いということになる。
そこでボラティリティが重要となる。とは言え、ボラティリティを当てるというのではなく、現在のボラティリティで変動幅を予測するという意味である。
また、想定幅以内に収まる事を想定した売買というよりも想定幅内の確率分布を参考にしてトレードの目安とする程度のいみである。
ボラティリティを売買するという意味ではない。

ランダムウォークとボラティリティ

数か月や数年などの期間経過後の株価をボラティリティから判断することにあまり意味はないが、数時間や数日などの短期においては意味がある。
騰落率自体は正規分布に似た分布形状を描くからである。ある地点から、例えば当日終値から翌日どれくらい動くかという観点にボラティリティが機能する。
価格を予測すると言う意味ではなく、ある一定の範囲内に収まる確率の目安として使えるという意味であり、逆に言えば大きな変動の起こる確率というものは少ないわけで、その大きな変動の価格の目安がつけられるということである。
そうすると、大きな変動が起こった場合さらに同一方向へ大きく動く(範囲外に出ようとする)よりも元に戻ろうとする(範囲内に戻ろうとする)確率の方が高い、はず、である。勿論これはあくまでそう推定されるというだけであり必ずそうなるというものではない。オプションの場合は基本的にはそれを想定し、かつさらに同一方向にいった場合(この場合は想定とは逆になるので損失となる)でも損失を軽減させるポジションを構築したり、むしろ利益になるようなポジを構築することもやぶさかではない。
いずれにせよ、このような動きを局面局面で繰り返すのが株などの金融資産の値動きということになるが、常にもとに戻るわけではなく、少しずつ+側にせよ-側にせよ価格が移動していることになる。そして、株価がランダムウォークしているとするならそこを新たな起点として動くことになる。その変動幅はある程度統計的な範囲内ということになる。新たな起点の位置が都度動いているにせよ、ある地点と比較するとほとんど動いてないこともあるだろうし、ある地点とある地点を比較すれば大きく動いていることもある。
一定の期間で計測し続けると、ボラティリティの想定範囲内のこともあれば想定外のこともあるが、その確率は長期的に見れば正規分布のような形になる。しかし、これは長期的にみれば、というだけである。局面局面でみると必ずしもそうではない。
いずれにしろ、一定期間に範囲外に動くような場合にどう立ち回るかは重要である。

SQ限月毎のボラティリティ

オプションは期限がある。
つまり、各満期がきたらそこでゼロリセットされるということである。1か月満期であれば1か月後の満期の株価がいくらになるかは重要だが1年後いくらになろうが関係ない。オプションをロングすることを考えると、原資産価格が反対方向にどれだけ進行しようが関係ない。
興味があるのは当該デルタ方向ということになる。このときボラティリティはオプションにいかなる影響を与えるか?あるいは過去のボラティリティがトレードにどのように役立てられるだろうか?
これまでみたようにプラス側とマイナス側をトータルでボラティリティを算出するのではなく、プラス側とマイナス側で別個にボラティリティを算出したほうがより参考になる。なぜなら逆サイドがいくらになろうが関係ないからである。言い換えると、上昇ならどれだけ上昇するのか(変動)が影響するからである。

2008年の上昇月は4回
ボラは1.82%
平均3.43%
2017年の上昇月は6回
ボラは3.87%
平均4.53%

これを日々の騰落率から算出したボラティリティでみてみると
2008年は2.92%
2017年は0.74%
2008年はリーマンショックの年で下落サイドのボラティリティが急騰。
2017年は低ボラティリティだったにもかかわらず上昇月のボラはむしろ2008年より高くなっている。
他の年でも各限月のボラティリティと日々の騰落率、要するに一般的に言われる日経平均のボラとを比較して傾向と対策をたてられるかと言うと必ずしもそうとは言えないようだ。
通常のボラティリティとは違う算出方法を使っているので言わば当たり前の結果ではあるが。
ボラティリティは平均値からのバラつきをみるものであるから、その平均値をみると一番低い平均値は2.11%(2004~2017年)ボラティリティは1.66%。
その年の日々の騰落率のボラティリティは1.49%だが、このボラは各年のボラティリティの平均値に近く決して低い数値ではない。
各限月のボラティリティから各限月ごとの騰落率を征夷分布にあてはめると、2004~2017年のトータルでは正規分布と似たような形状となる。

上がっても下がっても利益の上がる手法とは

オプションの解説ではよく目にするフレーズとして相場が動かなくても儲かるとか、相場が上下どちらにいっても儲かる手法などというものがある。
仮にそれが真実だとするとその手法をやり続けていれが億万長者になれるはずであるが、そんな話はだれも聞いたことがない。
しかし、完全に嘘なのかと言えばそうではなく、確かに儲かる場合もある。要はある条件に合致すれば儲かる場合があるというだけの話であって必ず儲かる聖杯ではない。
相場が動かなくても儲かる場合とは要するにオプションのショートを主体とした手法であるのは間違いない。
この場合要は期末の価格が動かないか、動いてもある一定の範囲内に収まることを当てると言い換えることができる。
しかし、既にみたようにオプションを期末まで保有し、期末の株価をある程度当てようとすることよりも期中の変動を取りにいくほうが容易いのである。
とは言え、変動がどれくらいになるのかはあくまで目安程度でありそんなものが分かるはずもない。
一つ言えるのは株価は動くと言うことであり、上がり続ける場合もあれば上がったり下がったり、あるいは大きく下げてそれ以上に上がったりする場合もあるということである。
もっとも、それがピンポイントで的中させられるわけではない。上下を繰り返しながらどんどん株価が上がったり、あるいは下がったり、あるいはあまり動かない位置に戻ってきたりする。

株価に権利行使価格を近づける

言い換えると、ある権利行使価格のオプションをプットコール両側にロングすると、必ずどちらかの権利行使に近づく時期があるということになる。
この時、権利行使価格に近づけば近づくほどそのオプションは有利になるので当該オプションはそのままに固定する。
他方、反対側に建てているオプションは株価と離れていくので元の値幅になるように損切りして買い直す。
これを繰り返していくとどんどんストラングルの値幅が狭まっていきインする確率が高くなる。
とは言え、満期までの期間が短くなっていくと当然原資産の価格変動幅も限られてくるので動いたからと言ってむやみに損切り買い直しをすることは得策ではない場合もある。損切り買い直しは要するにデルタヘッジで言うところの逆張りをしていることに似ているためである。もっとも、デルタを完全にヘッジするのではなくあくまで値幅を調整する目的である。逆に言えば完全にデルタをヘッジするようにしてしまうと相場が動いたときに損益が変わらなくなってしまう。

想定外の動きとデルタをとりにいく

従って、既に片方がインしている場合や、相場が一気に大きく変動しIVが上昇した時など、適時外側のオプションを売るとか、買い直しそのものをやめるなど調整して利益の増大や損失の軽減を図ったりすることによって、トータルでの損益を改善する。

結局
通常大半の期間においてボラティリティの上下を当てることは難しい
同様に満期時点の原資産の価格を当てるのも難しい
オプションは満期時点よりも満期までの間の価格変動を元に利益をあげるほうが相対的にやりやすい
ボラティリティがいくらであろうとも原資産の価格は必ず変動する
始点と終点の原資産の価格が同じである場合においてもその間では大小の差はあれ価格が変動する

そうすると、原資産の価格変動を利益の源泉にしたほうがベターになる。
※期限を一つの一定期間と考え、その始点と満期前の日を終点してその価格差とすると始点からどれだけ動くかになる
+で終わるか-で終わるかは長期的にみればほぼ半々に収束する。言い換えれば上下どちらで終わるかは分からないので必然的に両建てをすることになる
とは言え、先物を両建てするとどんなに相場が動いてもデルタは変わらず損益もプラマイゼロになるため、どこかで単騎にしたりするなどデルタを傾ける必要があるがそれが分かればそもそも両建てする必要もない。
従ってコールとプットのロングを建てることになる。もっともこのポジションを満期まで保有して利益を上げるにはどちらかの権利行使に近づくかインしなければならないため、権利行使価格差が広がれば広がるほど原資産の価格変動が大きいことが必要になるが、ほとんどの期間ではそうはならない。
原資産は大きく動かない時期が大半となろう。しかし、いずれにしろ期中においては価格が上下するのは間違いない。
そこで、権利行使価格に近づく場合はそのままで固定し、遠ざかる場合は近くの権利行使に買い直すようにする。
こうすることで上下動によって、必ずコールプットどちらかが原資産の始点の価格に近づくことになる。
従って、もしも原資産が始点に比べてあまり動かずに終わっても必ずどちらか一方は権利行使価格に近づくことになる。
もっとも反対ポジにせよ、当該損切り買い直しポジにせよこの場合トータルで損失となっていることが予想される。とは言え、単純なロングストラングルだと両者紙屑になっている可能性が高く、それに比べれば損失は軽減されているはずである。

他方、期中に大きく動いている場合や、最終的に原資産の価格が変動している場合は利益になるの確率が高い。更に言えば一方通行で大きく動けば利益は先物1枚と同様に増えていくことになる。
ベガを買っているためボラティリティが高くなる場合も利益になるが、仮にボラが下がってもインしてしまえばもはや関係はない。
利益があがるかどうかは端的に言えばどちらかのオプションがどれくらいインするかにかかっている。そのため、ある一定地点あるいは時点で遠目になったオプションを近めに買い直すことをやめることが必要になる場合がある(無駄になる場合がある)

●原資産の期初と期末の価格差を得る
損切り買い直しによってデルタの方向性を取りに行く
もっとも常に損切り買い直しをすると利益はでない。では損切り買い直しをやめるポイントは、原資産の期初と比べての差額をとりに行くという観点からは期初の原資産価格が権利行使価格と同じになった付近ということになる。

ショートをまったく含まない場合、原資産がどちらかに大きく動くと権利行使価格にインして大きな利益となる。言わば先物を保有しているのと同様になる。
原資産が期末においてまったく動かずに終わるような場合でも価格変動時に買い直した部分に近づいている可能性が高く、場合によっては既にインして利益となっていることもあろう。逆のオプションの損失とのトータル損益がどうなのか?ということになるが、このときに想定ボラが目安となる。

確率論を基礎にして儲からないオプショントレード

バイナリーオプションをやっていて気付いたのは、確率から言ってなさそう、あるいは確率的に高い、そういったことを前提に優位性があると考えてトレードをやり続けても儲からないということである。
確率的にありえなさそうな事が起こり、しかもその損失時の金額が甚大などということが有りうる。
そもそも論として、株価などの金融商品は正規分布ではないのに、正規分布を前提とした取引をしても儲かるわけもない。
もっとも、長い目でみると正規分布に近い分布を描くのがミソで、逆に言えば短期目線では正規分布では確率的に低い事が起こっても別に不思議ではないと言う禅問答のような話になる。
結果として、ある程度の方向性などの予測をたててトレードする必要があり、勿論、ある程度は的中させなければいけないがそれが出来れば苦労はしないという堂々巡りに陥る。
いずれにしろオプションというもの、及び一定の期間での取引ということに限定して考える必要がある。
上がるか下がるかは分からないとはいうものの、明らかに下げ相場や明らかにボラの低い相場などというものがあるのも事実であり、肌感として分かる。だからといって売っていれば儲かるとかそういうことではもちろんないが。
オプション取引では原資産の方向=デルタだけではなくボラティリティ=IVの上下もその利益の源泉とすることができるが、勿論その上下も予測がある程度当たらなければならないが、完璧に当てることはできなくてもある程度の幅をもって当てることができればそれなりに利益とすることもできる。
例えばIVが高いからオプションを売る。これはIVが下落する、あるいはこれ以上は上がらないだろうという予測だが、単純にIVが下落しなければ儲けられないわけではない。仮にさらにIVが上昇したとしても権利行使価格にインしなければ利益は得られる。
さて、そうすると物凄く乱暴に言えば、結局のところオプションはインするかしないかの勝負であるとも言える。
1限月の満期ではなく、ある程度利がのれば決済をして利益を確定するとすれば権利行使価格にインするかしないかはどうでもいい話であるし、ほとんどのオプショントレードは満期まで保有することを想定していないはずである。
期中で決済することを前提にして考えると要するにデルタをとるとか、ボラの低下や上昇をとるとか、あるいはレンジ内にとどまることを想定してセータを板ダックとかそういったオプション特有の利益のとりかたができるが、それもいずれにしろ自分の予想、想定が当たるかどうかという点が利益の源泉であることに変わりはない。

上がるか下がるかの予想はどうせ当たらないので無駄だとは思いつつもある想定をして取引をしなければならないが、そうすると想定が外れた時にいかに損失を少なくするかが実は重要になってくることが分かる。
これがオプションではなく、単純な株式の場合であれば、損切りするとかナンピンするとかそういったことになるだろう。
ではオプションの場合はどうなるのか?ということである。
なぜ株式ではなくオプションなのかはまさにこの点にある。
オプションは株式などとは本質的にまったく違うものである。オプションを買うということはその権利行使価格にインしないと紙切れになってしまうが、株式を買ってもその株式が1か月後に紙切れになってしまうのは倒産するくらいしか考えられない(実際は倒産してもゼロにならない場合もあるが)。
逆にオプションを売るという行為はその権利行使価格にインしなければ丸儲けである。しかし、その権利行使価格にインすればインした分だけ損失が増えていくことになる。
この点、ペイアウトが固定されているバイナリーオプションだと損失は一定以上は増えないが。
そして、オプションを買った場合は権利行使価格にインすればするほどその価格差分利益が増加していくことになる。
このように考えると、究極的にはオプションを買う方が有利に思えるが、必ずしもそうとは言えないことは誰でも分かる。
ATMから離れたオプションは価格が安い反面その権利行使価格にインする確率も低いため、売った方が有利であると言えるからである。ここでその確率とは前述した正規分布で言えばという話なのでここに落とし穴があることが分かる。
仮に30回やって1回しかインしないという低い確率であっても、トレードし始めて10回目でその時がやってきたらどうだろうか。
確率通りにオプション価格が形成されていたとしたら1回あたり100円で売れていたオプションが、損失を出すときは2900円の損失をだすという計算なのである。
従って、長い目でみると300回やって10回インして収支トントンなのであるが、10回目に2900円の損失をだすと、それまで900円しか利益がでていないので差し引きマイナス2000円と言う甚大な損失となる。これが2回連続怒らないとも限らない。なんせ株価は非連続の離散型であり、ランダムウォークしているのだから2回連続して起こること自体は何も不思議な事ではない。2回連続して起こって、その後50回インしなければ辻褄合わせされたことになる。
また、ここで重要なのはインした場合にどれだけインするか?ということである。
仮にインしたとしてもその価格が2900円だとは限らない、4000円かもしれないし、500円かもしれないのである。そうすると、重要なのはその時点でどれだけ動いたか?ということになり、これがボラティリティと言おうとなんと言おうと、その一定期間の一定時点までにどれだけ動いたかによって勝敗を大きく決することになる。
これは満期まで保有することをせず、期中で決済する場合でも同様と言える。
そうすると、ある一定期間でどれくらい動きそうか?或いは動かなさそうか?それを当てるのキモということになる。もっともそれが的中させられるのであればだれも苦労はしない。
とは言え、ボラが高い時、ボラが低い時、というは存在するわけでそれをベースに取引するしかない。勿論、ボラが低い期間が続いてボラが反転上昇するときも勿論あるだろう。だからと言って、ボラが低いから、高くなるだろうと想定しそれをピンポイントであてることができればいいが当たらない場合が多いはずである。むしろ、そういった事態で損失がでるような場合にどれだけその損失を軽減させるかに注力したほうがよい。言わば相場の雰囲気に流されていくというわけである。
そもそも、株価をトレーダーがコントロールできるわけではない。あくまでその株価に応じて取引をするのだろから、そろそろ下がるとかそろそろ上がるとか逆張り的に考えるのはまさにピンポイントで当てる必要があるがそそうそううまくいくものでもない。
また、このオプション理論によれば相場の上下の方向性を言っているのではなく、どれくらい変動するのかしないのかといった幅の話である。
従って、現在の相場の変動幅を次も想定した場合に仮にそこから逸脱した場合はそれこそ確率的に低いことが起こったということになるが、そうするとそこで新たな局面になったとみて何らかの対応をする必要があるということになる。つまり、現在のポジションで言えばまだまだ耐えうるが、仮にこれから満期時点まで当初の想定外の変動になったらどうなるのか?ということを考えて対応しなければならない。

自分たちのサッカーをやり続けるだけでは勝てない

いかに理論的ベースが正しくても、環境や条件が変わればそうとは言えなくなる。
例えば2023年中盤頃からの日経平均で言えば、それまでの環境とは一風変わったものになる。日本の市場が日経平均3万円超が常態化したのはほとんど経験がないからである。
バブル期に日経平均が最高値をつけた頃、3万円を超えた期間は実質的に2年もない。そのように考えるとオプション市場での統計データそのものがあまり役に立たないと言っていいのかもしれない。※日経225オプションの取引が始まったのは1989年6月12日
日経平均のボラティリティそのものを見てみると決して低い水準ではないが、これを各限月毎のボラティリティでみてみるとかなり低い水準であることが分かる。
変動率が仮に3%平均だとすれば3%離れたところを買い続けても儲からない。そこで3%以上離れたところを売れば儲かるのではないかと思いがちだが事はそう簡単な話でもない。
なぜなら、例えば限月間の騰落率が+1%だったとしても、期中で5%動いていることもあるからである。もしも、その時、売っているオプションにインしそうになったらどう対応するのか。いずれにしろ損失が出そうなときにどのような対応するのかは重要であることに変わりない。
そして、満期あるいは満期に近い時点でどれくらい変動しているかということに依存するわけだが、いかに日経平均VI指数が高かろうとも、今の相場環境ではあまり動いていないのが現状であるからそれを前提にしなければならない。
とは言え、期中で大きく動くこともあるし、最終的に大きく動くとも当然ありうる。重要なのは日経平均の動きに依存するとはいえ、利益を最大化するのではなく、損失を軽減するといった視点がより重要である。そうすると、相場がマイナスで終わったときにどれだけマイナスを軽減させられるか?そして、プラスのときにどれだけそのプラスの恩恵を受けられるか?ということになる。
ボラティリティが高い状況であれば利益を伸ばすことに主眼を置くのはやぶさかではないが、ボラティリティの低い時にそこに主眼を置くのは得策ではないだろう。素直にオプションのショートストラングルでもやっていたほうがよい。

限月間のボラティリティが低い
マイナスを出来るだけゼロにし、プラスをできるだけとる
期中の高安はある程度ある
相場の上下は分からない

これらを前提にまれに急騰や急落をすることを想定しつつポジションを建て、そして適宜変更修正していくことになる。

期初と期末
IVが高いときと安いとき

まず期初と満期が1週間前後弱となった場合ではポジションの取り方考え方が違ってくる。一般的には残存期間が短くなるとオプションの減価が著しいのでオプションのロングは敬遠されがちになるが、これは権利行使価格に近いか遠いかでかなり様相が変わってくる。
逆に言えば遠くのオプションをロングしていてもほとんど意味がないことが多いので、それを持つくらいなら価格は高くても近いところに買い直したほうが意味があるということでもある。
当該オプションにインするかしないかで言えば、遠ければ当然インしない確率のほうが高い。とは言えインしなさそうだと安易に売るのは何を目的にやっているのか分からない。そもそもそのオプションをロングしていたのはヘッジ目的にせよ当該権利行使価格方向へ相場が行くということを想定していたからだろう。にも関わらずそのオプションを確率が低いからとショートするのは矛盾している。

残存期間が長い場合は急激に減価することはないだろう。しかし、その分オプション価格は高い。ATMから少し離れた位置のオプションであってもそこそこの価格はつけられている。相場が上がるか下がるかは分からないからとりあえずコールもプットも少し離れた位置をロングしたとして、要するに最終的にはどちらかの権利行使価格にインしなければ紙切れである。ボラティリティの高い相場なら頻繁にどちらかにインすることもあるだろう。
しかし、現状はそうではないことからコールプット両サイドをロングするのは得策ではない。

取引回数はリターンに大きな影響を与えます。できるだけ早く資本を回転させる必要があります。

時間軸で考える

1990-2018のSQ間の騰落のボラは約6%なのに対し、2019-2023は約5%である。2023に限って言えば約3%へと低下。2020年コロナショックの年を除けば直近の数年はかなりボラが低下していることが分かる。
1年後、1か月後、株価がどうなっているのかは分からないものの、やはりある一定の期間相場がどういう状態にあるのか、傾向は価格実に存在すると言っていいだろう。
例えば前日アメリカ市場でイベントがあり大きく動いて返ってきた場合、翌日の寄り付きから日経平均が動いた場合その日はボラが大きな日だと誰しも感じてそれを前提としてトレードするだろう。勿論いずれ落ち着くだろうが相場が大きく動いている最中にボラが低下するということを前提に取引するのはあまり得策ではないだろう。少なくとも当日はボラが大きいことを前提としたほうが良さそうだ。
ボラが低下しているならいずれボラは反転上昇するだろう。しかし、ボラが低下している最中に上昇することを前提として取引しても利益に結び付きにくいはずである。
プットバック戦法などはいつか訪れるであろう暴落IV急騰を想定していると言えるがいつそれがくるかは分からない。リスクを考えて取引をするということと、利益をとろうとして取引をするということは別の話である。
2023年は+3%を超える月が3回である。仮にATMから3%離れたコールを買い続けても3勝9敗となる。とは言え、この3勝で9敗分のコストを補えるほど上昇するなら結果として利益となる。勝率というよりもリターンが重要である。ボラが低い年なので結局リターン自体も低いので利益とはならない。
面白いのは平均値である。2023の平均値は+1.4%、2016-2023の平均値は+0.7%である。
プラス月になった割合は多いものの上昇する幅はあまり大きくはなく、逆にマイナス月のマイナス幅も大きくないため結果的に平均値が上がっている。
平均値は高くてもコールを買う位置が少しでも離れてしまうとインすることもなく損失となってしまい、ゆるやかに上昇をする年だとコールを買い続けても利益になりづらい。これはATMのコールを買っても同様である。IV自体はそこまで低くないために限月間のボラに対して割高なオプション価格となっているからいずれにしろロングは設けづらい。
かと言って、ボラが低いからと言ってショートストラングルをやり続けても売る位置が近いと、6月のような上昇相場で一気に利益がそがれてしまうこともある。




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