電子契約書に印鑑が不要な理由とクラウドサイン

   

最近は様々な文書を電子的な媒体で記録保存することが認められるようになっていますが、そもそも法的に認められている電磁的記録ってどんなものなのか調べていたらちょっと気になる記事を見つけました。

電子契約サービスが広まりはじめたのは、なぜなのか?

この記事のポイント

以前から電子契約のサービスはあったがあまり普及していなかった
最近電子契約のサービスが広がり始めている
そのサービスはほとんどクラウドサインである
クラウドサインの利用が多いのは電子署名法に準拠せず利用のハードルが低いから
電子署名法は真正な契約成立の必須条件ではないというのがクラウドサインの主張

クラウドサインは弁護士ドットコムが運営していますので、弁護士先生たちが大勢で大丈夫だと言っているのだから大丈夫だろうということで利用が広がるのも理解できます。

さらに

電子文書の普及を目指す業界団体「公益社団法人日本文書情報マネジメント協会」の報告書(2017年10月)を読むと、「真正な成立の証明は、電子署名以外の方法でも可能である」と書かれています。

ともあります。

また、当該クラウドサインの法律ガイドには

電子署名法に準拠したとしても、実印と同様の法的効果を得られるということではありません。

電子署名法に準拠した場合であっても、反証の余地のない「看做し」規定ではなく「推定」規定であるため、文書の改竄などの反証可能性があります

とあります。

さて、そもそも文書になぜ印鑑が必要とされているのか?印鑑のない外国ではサインでいいわけですから変だと言えば変ですよね。ここで法律に詳しい人だと知っていると思いますが要するに法律にそれっぽい事が書いてあるからです。
電子契約でハンコの「印影」が法的に不要なのはなぜか
とは言え、実は紙の文書であっても法律的に言えば推定規定なので覆すことは可能です(実際かなり難しいですが)。

従ってクラウドサイン法律ガイドに書いてある電子署名法は推定規定だから準拠したとしても覆されちゃうかもよ、というのは確かに間違ってはいないものの、それを言い始めるとこれまでの印鑑だって同じなわけです。

多分クラウドサインとして言いたい事としては電子署名法に準拠していないからと言って契約が無効になったり、証拠としての価値がなくなるものではありませんということだと思います。
クラウドサインの場合は電子署名をするのはクラウドサインなわけですが、だとするなら別に電子署名である必要はないような気もしますが。
クラウドサインではどのようにして契約書の証拠力を担保していますか

合意締結時に、弁護士ドットコム株式会社名義で書類の概要や合意締結の日時などが記載された「合意締結証明書」が発行されます

そりゃそうですよね。電子署名法に言う電子署名さえ意味がないと言っているのに、一私企業の電子署名は効力があるというのも変な話ですし。
最終的に合意証明書に印鑑があったり、この文書に電子署名法にいう電子署名がなされてたりしたらまた笑えますが(笑)

問題は裁判になった時にどのような判断がなされるかであり、以前は印鑑さえあれば実際本人が押してなくてもほぼ大丈夫という怖い状態でもあったわけです(押してないって証明することが難しいですからね)。だから印鑑最強という面もあった。
それがこれから電子文書には電子署名法に準拠した電子署名がなされていれば安心という時代になったわけです。
勿論クラウドサインが言うように電子署名法に準拠していなくたってだからと言って証拠能力がまったくないわけではありません。
それはこれまでだって同じでしょう。印鑑の押されてない文書が証拠能力ゼロかというとそうではありませんし、そもそも口約束だって契約は成立するわけで、要はどうやってそれを第三者に証明するかの問題であり、いかに簡便にやれるかという問題であるわけです。

裁判ともなればクラウドサインの従業員さんあたりが証人として出廷したりしてそれを証明するのか、それともクラウドサインの電子署名があればそれでよしと判断するのか。

文書として成立しているのと内容が真正なものかはまた別なわけですが、二段の推定は押印があれば本人の意思によって押印されたものと推定されて全体として真正な文書になりますが、これを電子署名法に準拠していれば与えて貰える、お墨付きが頂けるという点には変わりありません。
クラウドサインのサービスでは少なくともそのお墨付きは得られない。

文書が本当に成立しているかとか、文書が改ざんされてしまうとかはぶっちゃけ別問題です。クラウドサインのサービスを利用したらその電子文書は絶対に改ざんされないということかもしれませんが。

で、電磁的記録ってなにかって話だったわけですが(笑)
特定のなにかに限定されているわけではない(例えばPDFとか)ようですね。
結論、ようわからん(笑)




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