ヘルメットを被っていないと保険が適用されないかもというロジック

   

自転車のヘルメットが「努力義務」になったけど……ノーヘルで事故ったら「支払い」に影響するのか保険会社に聞いてみた
保険会社に聞いたところ「ノーヘルの自転車が関係する事故が発生しても保険の有無責に影響はない」とのこと。つまり事故に関係した自転車がノーヘルであっても保険の適用に関してはとくに問題ないそうだ。

 これはヘルメットの着用が「努力義務」だからだと言えるだろう。

記事では「ヘルメットの着用が「努力義務」だからだと言えるだろう」と結論付けているが果たしてそうか。
シートベルト非着用で判決が不利に!? 大幅減額となった事故事例
この記事では4つの事例が紹介されているが、「いずれもシートベルトを着用しなかった「落ち度」が被害を大きくしたと認定されたため、事故の被害者であっても過失相殺により損害賠償の額が減額されてしまいました」。
要するにシートベルトの着用非着用が被害に影響を与えたか否かが損害賠償額に影響を与えるということである。

このことから、ヘルメットを着用せずに自転車を運転して事故を起こした場合、仮にヘルメット着用義務が法制化されたとしても即賠償額が減額されるわけではない、と結論づけることができる。

そもそも、自転車保険が取り沙汰されるようになったのは自転車運転者が加害者となり高額の損害賠償を負担することが散見されるようになったからである。この場合当該自転車運転者のヘルメット着用云々はなんの関係もないと言っていい。
自転車運転者が被害者になる場合は相手が保険等に加入しておらず満足に賠償を受ける事ができないような場合に自分の保険というものが顕在化するわけであって、この時にヘルメットの話がでてくる。自転車保険に加入していなくても自分が被害者となる場合は加害者が賠償すればいいだけの話であって、この点を混同しているような意見が多い。

逆に言えば、これまではヘルメットの着用が被害に影響を与えたかどうかはほとんど考慮されていなかったように思えるが、これからは例え努力義務であってもこの点はかなり裁判で考慮されるようになるはずである。
また、記事では「ノーヘルの自転車が関係する事故が発生しても保険の有無責に影響はない」としているが、ノーヘルが原因で事故そのものが発生し、ノーヘルの運転者が責任を負うという場合は想定しづらい。その意味で、事故の有無責とヘルメットを考えた場合、努力義務であろうがなかろうが関係のない話である。もっとも、ノーヘルの場合は事故についての過失ありと推定するなどの法律ができれば別だが。




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