カバードコールとかデルタヘッジとかクソの役にも立たない(笑)

      2022/09/09

デルタヘッジ やり方

※追記 20210617 
デルタヘッジのやり方についてざっくりと追記しておきます。

デルタヘッジの目的

〇価格変動リスクを減らす
〇IVの上下により利益をあげる
デルタヘッジには大きく2つの意味、目的があります。両者の違いについては下のほうの記事を参照。目的が違うのにいずれにも共通するのがデルタヘッジです。目的は違いますが、価格変動リスクがなくなれば利益も上げられる(あげやすい)と考えることもできます。とりあえずその点は置いておきデルタヘッジのやり方に焦点をあてます。特に巷でよく言われているデルタヘッジで利益をあげるやり方をざっくりと紹介します。

デルタヘッジはオプションのデルタとミニ先のデルタをプラスマイナスゼロになるように売買して調整

デルタヘッジは特に難しい事はなく(実際やってみると奥が深いですが)、原資産のデルタにオプションのデルタを合わせるだけです。
しかし、実際はオプションのデルタにミニ先の枚数で調整するほうがやりやすいです。

原資産のデルタは不変である

オプションは派生商品であり必ず原資産があります。この原資産のデルタは1で変わりません。この原資産を基準にしてオプションが組成されているからです。従って原資産価格より高い権利行使価格のコールオプションのデルタは絶対に1より下になります。ちなみに原資産価格と同じ権利行使価格のオプションのデルタは概ね0.5前後になります。
デルタがなんなのか理屈は分からなくてもなんとなくイメージがつかめると思います(どんなやねん(笑))。
コールオプションのデルタが0.3だったら、0.3単位の原資産を売ればトータルデルタが0なのでデルタヘッジ完成です。

デルタヘッジで利益が出る理屈

巷でよくドヤ顔で説明されているデルタヘッジで利益があがる戦略ですが、ほぼコール買いのミニ先売りです。
なぜ利益がでるのか?
例えば
デルタ0.3のコール買いに対してミニ先(デルタは0.1)を3枚売りデルタを-0.3とし、合計デルタゼロ でポジション組成
相場が下がりコールのデルタが0.2に減少すると、デルタヘッジするためにミニ先を1枚買い戻して-0.2にします。するとミニ先1枚の部分は利益がでますね。
そして今度は相場が上がり、コールのデルタが0.3に増加。デルタヘッジの為に再度ミニ先を1枚売って-0.3とします。
するとまた相場が下がり、コールのデルタが0.2に減少したのでデルタヘッジの為に再度ミニ先を1枚買い戻します。するとまたミニ先1枚の部分は利益がでますね。
これを繰り返すだけで利益がどんどんでます。上下動を繰り返せば繰り返すほど打ち出の小槌のようにお金がどんどん増えますね(笑)

そんな簡単にいくのか?そう疑問に思ったあなたは至極まっとうな感性の持ち主。思わなかったあなたは詐欺にご注意(笑)
このやり方は証券会社のサイトなどでも堂々と紹介されていますので決して嘘ではありませんが、儲からない理屈を下記に説明していますのでご興味のある方はどうぞ。

※追記
アクセスの少ないこのブログの中でも珍しく検索によりヒットしている本記事ですが、ここで言っているデルタヘッジはいわゆるヘッジのためのデルタヘッジであり、デルタヘッジによって利益をあげていく戦略の事ではありません。
この点、デルタヘッジを混同して説明されている記事が多く、かなり紛らわしいです。
デルタヘッジ戦略で利益をあげようとするものは本来IVの上下が利益の源泉となります。従ってIVの読みがうまくいかなければ損失になりますのでいずれにしろデルタをヘッジしただけでは利益にもなりませんし、損失になる場合も多いです。
巷で言われているデルタをヘッジすれば利益も損失もない、というのはミスリードです。

 

デルタヘッジについてかなり誤解が多いようなので記事を全面的に修正というか皆さんの知りたい内容に近づけておきたいと思います。念のため以前書いていたおふざけ記事は下のほうに残しておきます。

まず以下の点を踏まえておきましょう。

A.デルタヘッジの本来の意味は原資産の価格変動リスクを抑えるために行うものである。
B.相場の上下に関わらず利益を上げる手法として紹介されるデルタヘッジは結局IVの上下をあてるのと同義である。
C.この場合デルタの増減によってデルタを調整(リバランス)する必要があるが、オプション買いの場合は必ずしも必要ではない。
D.また、デルタの調整は完璧に行う事は事実上不可能である。

デルタヘッジで相場の上下にかかわらず利益があがるという点に興味をもったりあるいは疑問をもったりした方が恐らく本ページにたどり着いた思われます。
そもそもなぜ利益があがると言われるのか?巷にあふれているデルタヘッジの記事ではデルタヘッジのやり方ばかりでなぜそうなるのか理屈に言及されているものはほとんどありません。

オプション価格は無裁定価格理論が出発点である

この点につきざっくりと解説すると、
適正なオプション価格で原資産をヘッジすると利益も損失も出ないという無裁定価格理論を理解する必要があります()
(厳密には違いますが)。
オプション価格はブラックショールズ計算式によって算出されますが、正しいオプション価格とは要するに裁定の機会のない価格となります。裁定の機会のないオプション価格とは要するに原資産のヘッジに使ったら(両建て状態)儲けも損も出ない価格という理解でいいと思います。
となると儲けも損もないじゃないか?やる意味がないということになりますが、フルヘッジとは本来そういうことになります。
ではそこでなぜ利益がでるなどとのたまうのかと言うと裁定の機会がない適正価格には条件があり、それがデルタを適切に調整することであり、またオプション価格算出に必要な各要素(期限であったり、金利であったり)が一定であることが条件です。この中で刻々と変動するものがあります。これが原資産であったりIVです。原資産の変動についてはデルタでヘッジできますが、IVの変動についてはこの場合そもそも一定だという前提です。
従って仮にデルタを完全にヘッジできたとしてもポジションを建てた時と比べてIVが変動していれば儲けにもなるし損失にもなるわけです。
デルタヘッジをやって儲かると紹介される場合に多いのはコール買いとミニ売りのセットであり、この場合デルタヘッジミニ先を追加売りした後に相場が下落してその追加のミニ売りを決済して利益が積みあがるようにかかれています。とは言え、この時コールのIVが建てた時より下がっていれば(下がっていなくても時間の経過により安くなるでしょうが)コールの価格は安くなっている可能性もあります。
分かりやすいのはコール買いとミニ売りを建てた直後に仮に相場が緩やかに上昇した場合にIVが下落してしまうとコールの値上がり益よりもミニ売りの損失のほうが上回るということが顕著に現れます。逆に相場が下がった時もコールのIVが下がると同じようになります。
つまりこのようなデルタヘッジは相場が大きく動かないとなかなか利益につながりにくいということになります。

 

オプション買いのデルタヘッジとオプション売りのデルタヘッジの違い

よくよく考えてみれば上記のコール買いのミニ売りの場合は相場がどんどん上昇していく分にはわざわざデルタヘッジをする必要があるのか?という疑問が湧いてくるでしょう。なんせコール買いの部分で利益が出ているのでヘッジする必要性がない。勿論これから相場が下がるかもしれない、だからヘッジで売りを入れておくということかもしれません。ということは相場が上がるにつれてコールのデルタは増大し追加でミニを売っていく。ミニ売りの部分はどんどん損失が積みあがっているわけですね。これでSQを迎えると結局コールがインしていなければ紙屑になりますし、インしていてもミニの損失額によっては損益がマイナスになるかもしれません。

オプション買いの場合のデルタヘッジのもどかしさ

このことから分かるのはオプション買いでのデルタヘッジは相場が上下動をしてくれるほうが有利ということになり、巷でデルタヘッジが紹介される場合はこのように説明されることが多いです。
従ってオプション買いについてはわざわざデルタを常にフラットに保つ必要がないのではないかと思う人もいるでしょう。そもそもですがコールを買う場合のデルタヘッジは原資産を売っている場合のヘッジですから、コール買いのインしてしまうリスクというのはありません。むしろどんどん相場が上がっていってくれれば利益が増大する可能性すらあります。とは言え、このまま相場が上がり続けるかなんか分かるわけもなく、相場が上がると分かっているなら最初から原資産を買っておくでしょう。

オプション売りのデルタヘッジのリスク

逆にオプションを売る場合のリスクはもろにオプション売りのリスクなのは容易に想像がつきます。本来原資産のリスクヘッジのためのものであるのに、オプションを売ってデルタヘッジする場合はデルタの増大によってもはやオプション売りのリスクヘッジのために原資産でデルタ調整することになります。この場合オプションを買う場合と違ってデルタを適切にリバランスし続けなければとんでもない損失を被る可能性がありますね。
また、オプション買いの場合は相場が上下動をしたほうが一見利益をとりやすいように見えますが、オプション売りの場合は相場が上下動を繰り返すと逆に損失が積みあがる可能性があります。もっとも相場が膠着しているとIVも下落しがちなので、となればオプション価格も減価しやすく利益につながりやすくなります。そしてお気づきのようにコールを売るよりもプットを売った方が効率がよいということになります。いわゆるカバードプット状態ですね。
となると、結局オプション売りのデルタヘッジの場合は相場が大きく動かないほうが都合がよくなるわけです。
また、オプション買いにしろオプション売りにしろやはりIVの上下がかなり影響します。見方を変えると相場が上昇してもIVが上昇する場合はオプション売りでは分が悪く、相場が下落してもIVが下落すればオプション買いでは分が悪い。
相場が膠着状態でオプション売りに都合のいい相場だと思っていたらIVがなぜか下がらず上がっていて大して利益にならないなど。

カバードコールとかデルタヘッジとかクソの役にも立たないというのはミスリードを誘う

デルタをうまくヘッジしていれば必ず利益がでるものでもない。しかし、デルタヘッジを行っていれば特にオプション売りでのデルタヘッジの場合は損失をある程度減少させることができる。
オプション売りでのデルタヘッジの場合は原資産が逆にいくというリスクの他に売っているオプションがインしてしまうという大きなリスクがある。その反面原資産が逆にいくというリスクヘッジには必ずしも不十分な面がある。しかし、適切にデルタヘッジをしていれば仮にインして相場が一方通行になったとしてもデルタヘッジを行っていない場合と比べれば天国と地獄くらいの差ができる。うまくいけば多少利益がでる場合すらある。
つまりカバードコールでは原資産のリスクヘッジには必ずしも十分ではなく、デルタヘッジでは必ず利益が出るわけではないがリスクヘッジには重要だ、ということが言いたかったのである。。。。

とりあえず修正終了。

 

以前の記事↓
そういえばVIXショックの時に先物売りのプット売りのデルタヘッジとかオサレなことして大損したこと思い出しました(笑)
リーマンショックの時は前年くらいから売り目線だったので、売り続けてましたがなかなか下がらずにリーマンブラザーズが破綻したころには既に資金が枯渇していました(笑)布団の中で-777ドルを見たのを思い出します。
今回-2000ドルとか何かの間違いかと思いました(笑)
そういう時に限ってプット買ってないんですよね。ええ、今回も一旦戻ったらプット買おうと思いつつ買おうとした時にはすでに爆上げしていて手が出ないという・・・
しかし、IVなにこれ高いで安易にプットを売らなくてよかったと、その点だけは褒めてやりたいと思います。
今回のコロナショックとでも言うべき株の暴落(金とかも下がってますね。原油も別の要因でしょうけど下がってます。)は色々なデータみると確率的なものでは今のところリーマンショック並みになってます。

日本でオプション取引と言えば事実上日経平均先物オプションくらいしか選択肢がありませんが、このオプションは先物対象ですから1枚あたり現在で言えば1800万円くらいを売り買いしているのと同じなんですよね。それが安いものだと数千円で取引できます。買っている人はいいですがそれを売っている人がいるんですよ。オプション1枚数千円のものを100枚くらい売るってどういうことか想像できますか?
先日日経平均が一日で1000円位下がりましたが1000円逆に動けばオプション1枚100万円の損失になりますから100枚売ってたら1億円の損になります。
1枚数千円×100枚ですから、数十万円の利益の為に1億円もの損失を被ることがあるのがオプションという世界なわけです。
とは言え、オプションを100枚売るとかある程度資金がいりますし、普段の相場で1日に千円も日経平均が動くことはないので、意外にその点に気付かずやっている場合が多いです。
今回くずプットと言われる権利行使価格の離れた、通常は安全であるとされるオプションのIVがいわゆるアホボラ(異常に高くなる)になったとして売った人も多かったと思いますが、IVはなかなか下がらず相場はさらに下げまくりましたね。
このような場合はデルタヘッジをしていてもオプション一枚に対しミニ先数枚でしょうかからヘッジで追加売りをしなければなりません。
しかし、これだけ急激に下がると追い付かなくて、売ったら相場が戻したりしてもうぐちゃぐちゃになったりする。
ファーアウトザマネーなのでインすることはなくても大幅含み損&証拠金を引き上げられて追証が用意できず、泣く泣く法外な高値で強制決済とか。

こういうのは経験したことないとその恐怖はなかなか分かりません(私の事じゃありませんよ(笑))。というか、何言っているのか分からない人だらけでしょうけど(どうせ誰も読んでいないから我が道を行く)。

先物買いのコール売りのカバードコールなんか暴落しなくても普通の下げ相場であってもなんのヘッジにもなりませんがよく推奨されてますね(アメリカの現物株でやるのと日経先物オプションでやるのと同列には論じられない)。
そりゃ相場があげあげの状態だったらなにやったって儲かるでしょう(いや、損してますけどなにか?(笑))
相場歴5,6年だと、その期間はアメリカが基本あげあげだったのでおいしい経験ばかりじゃないでしょうか。そうは言っても最近で言えばVIXショックなどもありましたね。失礼しました。
かなり前から株を長期投資しているような方かすると今回の下げでも充分まだ含み益じゃないでしょうか。勿論、かなり資産を削ったのは間違いないでしょうけど。

投資ってギャンブル的な要素もありますし、リスクとらないと儲けられない面もありますが、安易に他人にこの戦略が儲かるとか、今が買い時だとか言うのはいかがなものかと思います。
一時期インデックス投資最強みたいなことが言われて結構はやっていたように思いますが、日経平均なんかいまだにバブルの高値は超えてないわけで、あれはS&P500などのアメリカ市場に限って妥当する話であり、インデックス投資が最強なわけでなくてアメリカ市場が最強と言い換えたほうがよさそうです。
今回みたいに暴落してもいずれ株価は戻すでしょう。
しかし、いつ戻すのかは誰にも分かりません。もし、昨年くらいからインデックス投資を始めた人がいたらずっと含み損を抱える事になるかもしれません。
こんなことは少し考えたらすぐ分かりそうなものですが誰もそれには触れません。
積立投資やドルコスト平均法なども結局のところ上がらなければ損するのは同じでしょう。
そしていずれは株価は上がるでしょう。問題はその時までその含み損とやらに耐えられるのかという点でしょう。
そもそも含み損に耐える必要があるのかという話もありますが。

そんな簡単に儲かるわけがない(ええ、儲かってませんけど何か?(笑))




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