運転免許学科試験にみる日本的官僚の論理

   

伊沢拓司、人生で唯一不合格だった試験明かす「テクニックを駆使して解いたら落ちちゃって」

「免許の試験って、クイズ作家的には0点の問題が並んでいる」と続け、筆記試験が「マルバツ100問」だと説明した上で、「『
』というクイズ、正解はバツなんです。『30キロ以上で走行してはいけない』から。これはクイズとしておかしくないですか?引っ掛けというか…50キロ以上で走行しちゃいけないのは『30キロ以上で走行しちゃいけない』っていう法律だったら当たり前じゃないですか?」と指摘した。

そんな伊沢は「マルバツ100問なら、基本的に高校生クイズ2回勝ってる僕なら絶対いけるだろう」と自身を過信していたと吐露。「マルバツのテクニックを駆使して解いたら82~3点で落ちちゃって」と苦笑いで振り返った。

確かにこの問題は典型的な引っ掛け問題と言える。
ここでこれを単なる引っ掛け問題で終わらせず、論理として成り立つのかどうか考えてみたい。

AはBである

問題を当てはめると
「原付 は 50キロ以上走行禁止 である」
しかし、法律的な命題は
「原付 は 30キロ以上走行禁止 である」 であり、命題と問題はBに入る部分が違うので×である、と言えることになる。

「原付は50キロ以上で走行してはいけない」と言われたら、常識的にはそりゃそうだ、となる。他方、これが不正解だとするとなんだか50キロ以上で走行してもいいのか?と言いたくなるのが人情かもしれない。
しかし、50キロ以上で走行してはいけないという事が×だとしても=50キロ以上で走行してもいいとは誰も言っていない。
また、「原付という乗り物は50キロ以上での走行が禁止されている乗り物である」という言い方だとどうだろうか。
いやいや、原付は30キロ以上走行禁止だよと答える人が多いのではないだろうか?

常識的には30キロ以上走行禁止には50キロ以上走行禁止も含まれるので当然〇と答えるのが人間だろう。しかし、これを原付という乗り物は法律でどのように規制されているのか?という観点で考えると違ってみえてくる。
例えば原付は何キロ以上で走行してはならないですか?と聞かれれば間違いなく30キロ以上と答えるだろう(厳密には30キロ超だろうか)。ここで50キロ以上走行禁止も含まれるから50キロ以上でも正解だろ!と言う人は多分いないはずだ。

この問題は捉え方、解釈によって答えが変わる可能性がある問題である、というのが結論だが、問題はこのような問題を国家が未だに出し続けているという点にある。
頭のいい官僚の人たちであれば、これは引っ掛け問題であることは分かるはずで、更に言えばこの問題、論理問題としてもいささか表現に不十分な点があり、いずれにしても問題として不適切な部分があるが、作成者自体はその点については気づいていないのだろう。
論理だけから判断すると確かに間違いと言えるからである。
日本語を元にして論理問題を出す際は慎重な言葉選びと表現をしなければいけない。どうとでも捉えることのできる表現はまさに官僚答弁的である(笑)




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