インフレとビッグマック指数

      2022/10/23

この記事は大学もまともに行った事のない底辺に巣食うおじさんが暇を持て余した思考実験ですから華麗にスルーお願いします。

ビッグマック指数「日本は貧しくなった」は、本当か?
【例】

◆ビッグマックの販売価格…日本で400円、米国で6米ドル

◆為替レート…1米ドル=135円

・400(円)÷ 6(米ドル)÷135 ≒ 0.493
・(0.493-1)×100=△50.7

→日本のビッグマック指数(BMI)は△50.7%

【2022年版】ビッグマック指数推移ではっきりわかる日本人の貧困化
10年前のビックマック価格は日本では320円(4.09ドル)、アメリカでは4.33ドルでほとんど変わりませんでした。

さらに20年前まで遡ると、日本のビッグマックは世界で5番目に高かったというデータがあります。

ビッグマック指数に見る日本の経済力


ではアメリカのビッグマックの価格同様に、日本がどれくらいインフレになっていないといけないかを計算してみます。現在の為替レートの1ドル=110円だとすると、2021年のアメリカのビックマック価格の5.65ドル×110≒622円となり、日本経済も順調に成長していれば、日本でのビッグマックの価格が620円程度になっていても不思議ではないということになります。

しかし2021年の日本でのビッグマックの価格は390円ですので622÷390=1.594となり、約160%のインフレとなって、やっとアメリカと肩を並べることになります

アメリカのビッグマック 6ドル
日本のビッグマック   400円
1ドル 150円

日本人がアメリカに行ってビッグマックを買って食べようとすると900円必要
別の見方からは、日本のビッグマックは900円でもよい→900円でも買えるほどのインフレ&経済成長をしていてもいい
要するに物価の高い国は物価が高くても経済が回っているということになる。
逆に言えば、物価の安い国は物価が安くていいね、ではなく、安くなければ経済が回らないのだ。
日本はこれまで政策的にデフレをやってきていたというより、結果としてデフレだったのだ。
お金をいくら市場にじゃぶじゃぶに投入してもインフレにならなかったのはそれだけ経済が成長しなかったというだけである。
いわゆる超ハイパーインフレというのは基本的にモノが不足しているのに、お金をじゃぶじゃぶにするから起きるのであって先進国やそれに近い国では超ハイパーインフレが起きることはまずもってない。

また、ビッグマックが900円で適正価格とするならばこのときのドル円レートが150円が適正値ということになる。
そうすると、現在のドル円の感覚からするとやはり円安水準であることに変わりない。

逆に400円を基準とするとドル円レートは1ドル66.6円が適正値ということになる。

そもそもビッグマックの価格が同一であるというのは仮想であって同一であるわけがない。
しかし、アメリカ人が日本にきてビッグマックを買って食べようとすると、もし1ドル66.6円であっても別に高いという印象は持たないはずである。
なんせアメリカと同じ6ドルで買えるのだから。

自国の通貨が高いとか安いとか言っているのはあくまで他国との交換レートにおいてである。
同じようなものを買うのに自分の国よりも高いお金をだして買わなければならないということは、自国の通貨が他国の通貨より弱いということである。

このとき、日本が貧しくなったという表現を使うが、貧しくなったというより他の国の成長に追い付けていない、という表現が適切だろう。

では、なぜ1ドル66.6円ではなく1ドル150円で取引されるのか。1ドル120円ではだめなのか?なぜ100円ではないのか?

1ドルが150円だと円安円安と騒ぎ立てるが、115円ならよかったのか?
仮に115円のままだったとしてもアメリカでビッグマックを買うには690円必要ということになる。
日本の1.7倍以上高いので、日本の価格が安すぎると考えるなら日本の価格を上げる必要があり、一物一価だと考えるならドル円は70円程度が適正価格だということになる。
仮に1ドル70円だとすると恐らく円高円高の大合唱になるはずである。

これまででも充分円安であったにも関わらず輸出は伸びなかった。恐らくこのあたりがキモである。
本来であれば輸出がもっと増えて経済の規模が拡大し、適度なインフレとなり、少しずつ円高になる。30年前のGDPの3倍とはいかないまでも1.5倍程度にGDPは増加していてよかったというか、そうなるべきだったはずだ。
そうすればビッグマックの価格は今よりも高くなっているはずで1.5倍の600円、ドル円100円程度だったことになる。

結局、円が安いからダメなのではなく経済が成長していないからダメなのである。
円が安いからと言って金利を引き上げたとして円高にしようとしても恐らく一時的な効果にとどまるだろうし、ある程度効果があったとしても円高になることの弊害のほうが大きいだろう。
そもそも、円安だと一体何が困るのか?
輸入価格が上昇し、物価の上昇を招く。物価が高いほうがいいのか悪いのか?
物価が高くなること自体が悪ではなく、経済成長をしない物価高が悪であり、国民の所得が増えない物価上昇が悪なのであり、物価がまったく上昇しない事も実は悪なのである。
為替というものは結局のところ国と国との国力を表しているものだと言える。中国や韓国とざっくり言って生活水準に大した違いはないとも言えるのでビッグマックの価格があまり変わらないのも何ら不思議ではない。
金利の違いによってレートが変わるのは言わば誤差の範疇。

現在のドル円レートが行き過ぎた円安なのかどうかは分かるはずもないが、少なくとも言えるのは今までも円が相対的に円が安くなっていた事は事実のようである。
そして、結論としてはこの20年以上の間に日本は戦略を誤ったということなのだろう。
アベノミクスによって本来は経済が拡大するはずだったが、経済の規模は拡大しなかった。
市場にお金を投入してもそれが設備投資など経済規模を拡大させるところにまわらず、株などの金融資産が増加するところにばかりいってしまった。
金融機関は株価上昇による恩恵の投資先を国債に向け、企業は株価上昇、企業収益の増加を貯めこむだけで従業員には還元しない。政府は国債を発行し続けて、国民がこれまで蓄えてきた資産を回収してそれを財源不足の穴埋めにするだけ。
これはタコが自分の足を食うのとまったく同じである。

つまり、よそからお金がまったく入ってこず、自分の懐の中だけでお金を回しているだけだったのだ。
日本の借金はほとんど国内の借金だけなので大丈夫だとよく言われる。
確かに他国に借金をしていたら今の円安局面では大変なことになっていただろう。
しかし、その反面外からの資金流入もなかったと言え、また、仮にデフォルト危機になって返済を延期してもらっても、それはほぼほぼ国内の金融機関である。
サブプライムローンの時のように世界中でアメリカの借金を分散して負担させることはできず、日本が、日本国民がそのしわ寄せを食うだけ。
親が子供にお金を借りて子供に配っているだけで何も変わらない。
しかし食っていくためにはよそからモノを買わなければいけない。売って儲けるより買って支払うほうが大きくなれば経済はジリ貧に陥る。

アメリカは常に貿易赤字を抱えているが、経済がジリ貧にならないではないかという指摘があるだろう。
それはドルが基軸通貨だからに他ならない。基軸通貨とは極論すれば為替レートは関係ない。言わば一国の中で通用している通貨と同じでそこにレートは関係ないからである。
現状、アメリカドルは対日本のみならず世界中の通貨に対してドル高になっている。
もしも日本円が115円から20%ほど高い1ドル90円ほどになれば恐らく静観することはできないはずだ。
また、アメリカは世界中に米国債を引き受けさせている。言わば世界中からお金を受け入れているわけだ。
他国からお金を借りまくっていたら、自国の通貨安のときに大変なことになるが、ドル建てなのでその心配もない。
言わば借り放題。
別に輸出で稼がなくても他国からの投資があるということになる。加えて、グローバル企業の株を世界中の投資家に買わせることによって世界中からお金を吸い上げている。

日本の株式市場の大半は海外投資家だと言われるが、その投資家のうちどれくらいが日本の企業の株を長期で保有しているだろうか。

アベノミクスによって株価は上昇したものの、海外投資家は株を買って長期保有ではなく所謂投機的売買の類でしかない。

既に輸出競争力がなくなっていると言われるのにまだ輸出で経済の規模を拡大しようとしている。
イタリアでさえGDPは増加しているのになぜ日本は増加しないのか?
なぜこのような議論が日本では起こらないのか?
MMT理論などそういうキャッチーなものばかりに目を奪われていやしないか。
対外債務がないからいい、純資産国だからいい、など一面ばかりに目をとらわれてやしないか。
円安だからだめ、円高はダメ、デフレはだめだからインフレにしようとし、いざインフレになるとインフレもダメだという。
2%のインフレはよかったはずなのに、2%を達成してもまだ足りないと言いながら、インフレ対策をしなければならないという。

一体何が正しくて何がうそなのか。

一つ言えるのは、まずい料理店と同じでこんな感じでもそこそこやっていけるもんだ、という事である。




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