村上宗隆の56本とカブレラと大谷の四球攻め

   

ヤクルトの村上選手が56本のホームランを打ちましたが、これに関連して、昔、ローズやカブレラが王さんの記録を超えないように四球攻めをされたという話がでてきますね。
「記録は全て日本人のもの」と嘆いたカブレラ 王貞治氏に迫った3人を米メディア特集
事の真偽はともかくとしてこんな記事もあります。
16打席14四死球

「カブレラがシーズン本塁打数のタイ記録・55号(当時)に並んだ後、執拗な敬遠・四球責めを受けた」「空気を読まずに外野に打球を飛ばしたため故意死球を受けた」「謎の人物O氏が黒幕」などというエピソードと共に語られる、なんJに古くから流通している怪文書の1つである。

1 四球四球三ゴ四球
2 四球四球四球四球
3 四球四球四球四球
4 四球四球右飛死球

以降骨折で出場なし

このコピペはなんJ民による捏造*1であり、実際の成績は下記のように23打席5四死球である。
また「2002年のシーズン終盤に骨折」というのも大嘘であり、シーズン最終戦まで出場・同年の日本シリーズにも4番打者としてスタメン出場している。

91: 風吹けば名無し 2013/08/15(木) 23:27:46.62 ID:1ntEEchi
10月2日近鉄戦(西武ドーム)死球 敬遠 二飛 左本(55号)
10月5日ダイエー戦(西武ドーム)四球 中安 四球 死球 三振
10月6日日本ハム戦(東京ドーム)一飛 三邪 中安 四球
10月9日オリックス戦(神戸)三振 左2 二飛 三振 敬遠
10月10日オリックス戦(神戸)右飛 右飛 三振 左安 三振
10月14日ロッテ戦(千葉)一飛 右飛 左安 三振

前述した通り、公式記録におけるカブレラの四死球は23打席5四死球である。これはプロ野球選手としては多い部類に属するが、強打者の四死球が増えるのは当たり前であり、この年のカブレラはシーズン通算で559打席111四死球を記録しているため、シーズン終盤になって割合が激増したわけではない。しかし、O氏の所属球団であるダイエー戦に限れば5打席3四死球と高い四死球率を記録しており、O氏の圧力が囁かれるようになったのも残念だが当然である。
そして、実はそれ以前にも同じような事件が何度も起こっていたことが、O氏の圧力説に信憑性を持たせることになった。

1985年10月22日、それまでに54本塁打を放ち、O氏の記録に迫っていた阪神ランディ・バースがO氏が監督を務める巨人と対戦。4打席2四死球。
1985年10月24日、それまでに54本塁打を放ち、O氏の記録に迫っていた阪神ランディ・バースがO氏が監督を務める巨人と対戦。5打席4四死球。
2001年9月30日、それまでに55本塁打を放ち、O氏の記録に並んでいた近鉄タフィ・ローズがO氏が監督を務めるダイエーと対戦。4打席2四死球。
2002年10月5日、それまでに55本塁打を放ち、O氏の記録に並んでいたアレックス・カブレラがO氏が監督を務めるダイエーと対戦。5打席3四死球。
見れば分かるとおり、外国人打者がO氏の記録に迫るたび、O氏が監督を務めるチームと対戦して四死球攻めにあっているのである*2。記録のために四死球攻めをしてはいけない(戒め)。

さて、2021年大リーグの大谷翔平選手は本塁打王に手が届きそうなところまでいきました。

2021年の大谷翔平が分かりやすい例で、大谷はこの年打率.257・46本塁打・100打点という成績を残し、ア・リーグの本塁打王争いに絡んでいた。一方で後続の打者であるフィル・ゴセリンは打率.261・7本塁打・47打点と、大谷と比較すると明らかに迫力がなく、その他の打撃陣も不甲斐ないことから、9月23日のHOU戦から25日のSEA戦までの3試合15打席で申告敬遠を含む11四球と露骨に勝負を避けられた。

3試合で10四球以上を記録したのはバリー・ボンズ(2003)とブライス・ハーパー(2016)だけであるが、この話が作られた頃のカブレラは彼らのように突出した成績を残していたというのも信憑性に拍車をかけたのかもしれない。

ここで仮に大谷翔平選手が、本塁打王をアジア人にとらせたくないんだ、などと思うわけはない。
相手チームからすれば強打者を敬遠するのは当然の作戦だろうし、自チームに仮に本塁打王争いをしている選手などがいれば猶更だろう。
外国籍の選手でよくこの手の日本では、とか、日本人は、とか、自分たちとの考え方の違いなどを殊更人種の違いで判断する人が見受けられる。
このような発言を仮に米国で日本人が行うと相当なバッシングを受けそうだが。
もっとも、この手の考え方を自虐的に好んで取り上げ、これだから日本人はと、自分が日本人である事を棚に上げて同じ日本人を批判したがるのも日本人あるあるだが。




 - 素朴な疑問