プットの建て玉が多いから相場が下がるとは

      2022/04/03

プットコールレシオについての備忘録。
S&P500のオプションの建て玉残高でプット側がコール側より2倍程度多い。

これは相場が下がると見ているからなのか、あるいは下げようとする輩がいるせいなのか。
プットにしろコールにしろ建て玉残高というのは売り買い同数のはずだが。

先物で考えた場合、新規で売るということは、買い戻せばその玉は消滅する。新規で買えばそれを売れば建て玉は消滅。
そういう意味では売り残と買い残という意味で売り買いが同数とはならないのは分かる。
もっとも新規で売り、その時の買い玉が新規で買いの場合は同数となるが。この場合新規で売った玉を買い戻す場合の買い注文に対しての売り注文は新規売りかもしれないし、買い玉の売り決済かも分からない。

オプションではプットを新規で売る場合は買い戻せば消滅。逆に新規で買う場合もある。新規で買う場合は売れば建て玉は消滅する。そういう意味ではプット側で売り残と買い残を別個に表現しないと意味がないように思えるのだが合算して建て玉は表示されているということなのだろうか。
プットコールレシオを語る時はコールを買う権利、プットを売る権利としてその残高という表現なので買いの建て玉残高のみの表示ということかもしれない。コールを買う権利という表現はコールの買い方の視点であり、コールを売っている方から見れば買う権利を売っているので要するに売らされる義務が生じるからである(日経平均は差金決済なので厳密には売らされるわけではないが)。プットを売っている場合は、売る権利を売っているから買わされる義務が生じるので、売る権利の残高という表現は適切ではないからである。

また、新規で売った場合、買い手が存在するわけで、この買い手が新規の買い手なら確かに売り買い同数にはなる。そうするとこれは建て玉は2になるのか、それとも1なのか。
オプションの場合もコール側とプット側だけでなくコールの売り残と買い残、プットの売り残と買い残で区別しないと意味がなさそうなのだが。

いずれにしてもプットの建て玉が多いから下がる、という発想は下がったら儲かるという前提なのでプットの買い手から見た発言であるが、プットの売り手も存在することは間違いない。
その意味では売り手は下がると損するわけで必ずしも建て玉自体が多いから下がるとは言えないはずである。
※なんとなく自己解決
プットの売りに対して、デルタヘッジを行う場合は相場が下がるにつれて先物売りをあてていくので、そういう意味では相場を押し下げる要因にはなる。もしかするとそういう意味合いで使われているのかもしれない。
この場合プットの買いは勿論スルーされている。また、コールの売りに対してデルタヘッジしている場合、相場が下がるとデルタが減少するのでヘッジである先物買いを随時外していくこととなる。これも買っている先物を売るので相場の下落要因の一つとも言える。
いずれにしろ、プットの建玉残高が多いから=相場が下落する、とは必ずしも言えないのは間違いない。

とは言え、コールの価格とプットの価格、あるいは売買代金でみるプットコールレシオもある。
プット・コールレシオ(PCR)とは?
もっとも、これはその時点での相場の強弱をみるものである。

裁定買い残が多いと相場の上昇を阻害、あるいは下落要因になり得るという場合の買い残とは現物の買いの残高である。
要するに先物を売って現物を買っている状態であり、先物売りに対しては同数の先物買いが存在しているのは間違いない。
現物の買いをいずれは解消する必要があるので下落要因になりがちということらしいが。

レシオを学ぼう
CAPEレシオ=景気循環の影響を調整
銅金レシオ=世界景気の先行きを占う
新規受注・在庫レシオ=中国の景況感が反映

プットコールレシオ時系列
銅/金レシオ(C/Gレシオ)は米国長期金利の先行指標
ゴールド/カッパーレシオとVIX指数
COPPER/GOLD 




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